■クロス・マーケティンググループ<3675>の事業概要

セグメントは、リサーチ事業、ITソリューション事業、その他の事業の3つで、2016年12月期のセグメント別売上高・利益の構成は、リサーチ事業が売上高の83.7%、営業利益の168.2%を稼ぎ、ITソリューション事業が売上高11.9%、営業利益13.0%を占めリサーチ事業に続く。その他の事業は、売上高4.3%、営業利益5.5%。調整額は-86.7%。

国内リサーチ事業の主な関係会社は、クロス・マーケティング、リサーチパネル、リサーチ・アンド・ディベロプメント、メディリード、ユーティル、ENVIROSELL、ショッパーズアイがあり、海外リサーチ事業はKadence、Markelytics、MedePanel Online、Jupiter、Union Panels、Cross Marketing Asia、Cross Marketing China、Cross Marketing(Thailand)、Cross Marketing Group USAが担っている。ITソリューション事業では、主にクロス・コミュニケーション、(株)クロス・プロップワークス、クロス・ジェイ・テックが行い、その他の事業のWebマーケティングは(株)UNCOVER TRUTHが、プロモーション事業は(株)ディーアンドエムが行っている。

1. リサーチ事業
2016年12月期におけるリサーチ事業の売上高13,372百万円のうち、国内は9,213百万円(リサーチ事業における構成比は68.9%)、海外は4,160百万円(同31.1%)。

同社は、ネットリサーチを含め、マーケティングリサーチに関する事業全般を行っている。ネットリサーチでは、顧客から調査依頼を受け、調査企画内容に沿ったアンケートプログラムを開発し、アンケートサーバー上に設置。その後、登録モニターを抽出するスクリーニング調査、本調査、データクリーニングを経て、集計・分析を行い、顧客に納品をする。納品後は、リサーチパネルに対して登録モニター利用の対価であるモニター募集委託手数料を支払う。ネットリサーチは、数日で調査結果を得られ、デジタル化された回答データにより加工が容易であること、印刷費、郵送費、調査員の人件費などの費用が掛からず、また回答謝礼の大幅削減が可能なほか、数十万人の声を短期間で収集可能なことや出現率の低いレアターゲットに対しても調査可能などの特徴がある。ネットリサーチはそのスピード、コスト、スケールの観点から手軽に導入ができるため、利用が進んでいる。一方、マーケティングリサーチでは、調査の背景・目的からヒアリングし調査目的を達成する手法を整理する。その後、調査票の設計をサポート、設計されている調査票が目的を果たせるかについて確認してから調査の実施に移る。集計した内容をもとに分析し、調査結果をレポートに詳細にまとめ、レポート後にディスカッションすることで、解決のためのアクションを推進する。

同社は、190万人超の国内最大規模のアンケートモニターを保有しているほか、モニターは基本属性だけでなく、非シニア、携帯電話利用、自動車保有、化粧品利用などの約20のカテゴリーに分類されており使い勝手がよい。同社の顧客は、調査会社、コンサルティング会社、広告代理店のほかに、直接、一般事業会社等から受注する場合もある。

モニターの獲得では、リサーチパネルの親会社であるVOYAGE GROUPが運営している総合オンラインショッピングサイト「ECナビ」からリサーチパネルへ会員登録するよう勧誘を行っている。また、クレディセゾン<8253>では、クレディセゾンの会員の中でアンケートへの参加を希望する会員を、リサーチパネルが運営する「永久不滅リサーチ」登録モニターとして利用する契約を締結し運営を行っている。

リサーチ事業では、新サービス「Random Domain Intercept Technology(RDIT:アールディット、以下、RDIT)」を開始した。RDITは、一般のインターネットユーザー(非調査用パネル)から、インターネットのトラフィックを反映する形でランダムに抽出する唯一の調査手法。既存サービスとの違いは、インターネットユーザー全体からランダム性のあるフレッシュ・サンプルによるデータを取得が可能であること、世界中の国・地域を指定して同じ条件で調査を行うことが可能であること、また自然回収でインターネット利用者の構成比に合致した分布であることなどである。2016年の米国大統領選を、RDITを提供するRIWIが投票日までの間デイリートラッキング調査を実施した結果、2016年11月4日の時点で今回の投票の勝敗を予測するなど成果を出しており、順次販売を進めている。

2. ITソリューション事業
ITソリューション事業では、モバイル・スマートフォン向けサービスの企画・開発・運用事業及びエンジニア派遣事業等を行う。主に子会社のクロス・コミュニケーションが、Webサイト構築、スマートフォンアプリ開発、各種ツール・パッケージの提供、調査・分析、運用アウトソーシング、インフラ・サーバ構築と運用、Webプロモーション、セキュリティ対策を提供。主要顧客は、証券会社やFX取引などの金融機関、大手旅行代理店など多岐にわたる。また、クロス・コミュニケーションの傘下の子会社であるクロス・プロップワークスはグループ内のデータ加工・処理業務等のアウトソーシングサービスを行うほか、同じく子会社のクロス・ジェイ・テックがエンジニアをユーザー企業のオフィスに派遣・駐在させるシステムエンジニアリングサービスも行っている。

3. その他の事業
その他の事業の主な内訳は、Webマーケティング事業とプロモーション事業。Webマーケティング事業では、UNCOVER TRUTHが、Webサイトに訪れたユーザーの動きをヒートマップと動画で可視化するサイト内分析ツール「USERDRIVE」を活用しながら、Web及びスマートフォンサイトのUI/UXを分析、改善コンサルティングを行うサービスを提供。プロモーション事業では、連結子会社のディーアンドエムがプロモーション等マーケティング支援に関する事業を行っている。

なお、UNCOVER TRUTHは、2016年9月に、Draper Nexus Venturesをリードインベスターとして約4億円の資金調達を実施した。資金調達の目的は、更なるプロダクト開発や事業体制強化のための人材採用、将来的に海外展開を推進し、成長を加速させていくためとしている。資金調達の引受先は、Draper Nexus Venturesのほか、日本ベンチャーキャピタル(株)、サイバーエージェント<4751>、(株)アコード・ベンチャーズ、みずほキャピタル(株)、ニッセイ・キャピタル(株)。今回の増資により同社の持分が相対的に減少したことに伴い、第3四半期末よりUNCOVER TRUTHは持分法適用会社へ移動している。また、これに伴い同社の連結決算で特別利益に持分変動利益159百万円を計上した。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 クロスマーケ Research Memo(3):主力のリサーチ事業を軸に、多様なサービスを提供