■要約

ダイキアクシス<4245>は設立が2005年であるが、前身から数えると半世紀に及ぶ水処理関連の業歴を持つ。水インフラビジネスのサプライチェーンは、部材・部品・機器製造から装置設計・組立・施工(・運転)と事業運営・保守・管理(水売り)となる。フランスのヴェオリやスエズ、米のGEウォーターなどの世界的水メジャーはすべての工程を網羅しているが、大規模施設を対象とする。一方、日系企業はプレイヤーは多いが、各領域に特化している。同社は中小型をターゲットに生活排水処理、事業場排水処理、公共水域浄化におけるサプライチェーンに必要な事業領域をすべてカバーしていることが特徴になる。

アジア開発銀行(ADB)は、2016~2030年までの15年間におけるアジアのインフラ需要を総額3,000兆円(年1兆7千億ドル)に上ると推定している。世界経済フォーラムは2016年版の報告書において「最も影響が大きいと思われるグローバルリスク」の3番目に「水危機」を挙げている。アジア13ヶ国で構成する「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)」は水質汚濁防止を進めている。水質汚濁防止には従来のし尿処理だけでは不十分なため、生活排水を併せて処理する方向で環境規制の強化に動いており、日本の技術・製品力及び施設運営・保守のノウハウなどが評価される時代が到来したと言えるだろう。

1. 経営の独自性を生かし、海外水インフラビジネスの膨大な需要を取り込む
同社は2013年に東南アジア地域の橋頭保を築くためインドネシアの現地企業を買収し、高品質と高い生産性を同時に実現する日本生産方式を取り入れた新工場を完成させた。今後はアジアにおける水インフラビジネスにおいて、ASEAN域内に輸出拠点を持つ競争優位性が発揮されるだろう。現地の気候に合わせて低コスト製品を開発し、ミャンマーでは安定供給体制が確立され、コンスタントなビジネスを行うフェーズに入った。「クリーン・インディアPJ」を推進するインド政府には浄化槽を寄贈して、製品品質をアピールしている。農産物を輸出する中国では、農村部での水質汚濁防止が活性化している。2016年8月にはシンガポールに水処理関連の営業活動及び海外子会社の統括業務を行う子会社を設立した。環境機器関連事業は、現中期経営計画の最終年度に当たる2018年12月期に海外売上高を3年間で倍増の12億円とする目標を掲げた。現在、活発な引き合いが来ており、前倒しで今期に17億円の売上を見込む。

2. 国内では収益性が高いストックビジネスの上水事業を拡大へ
日本においては、ストックビジネスの上水事業を拡大していく。遠隔監視機能をもとに業界屈指の安定的な高度な水質供給を実現しており、水質への要求が高い病院・食品工場などでも実績を積み上げている。エスコ事業は収益が安定的に増加するだけでなく、契約が更新されることで利益率が向上する収益構造を持つ。現在取り組んでいる装置のユニット化が進むと工場化率が上がり、設計・製造業務の合理化、設置現場の工期短縮が実現される。コストダウンとともに、ターゲットとする業種やユーザー層に広がりが期待される。


3. 今期の配当は1株当たり40円と10円の増配を計画
同社は株主還元策として連結配当性向を当面は25%以上、中期的には30%まで引き上げることを目標としている。配当性向は2015年12月期に特別損失のため一時的に54.5%に上昇したが、2016年12月期は1株当たり30円配当を継続して配当性向を28.0%へ戻した。今期は予想配当性向28.5%をベースに1株当たり40円と10円の増配を計画している。

Key Points
・海外事業はASEAN域内とインドでの飛躍を図る
・国内はストック型ビジネスの上水事業を強化
・今期の配当は1株当たり40円と10円の増配を計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイキアクシス Research Memo(1):海外の水インフラビジネスが爆発的成長へ