リプロセル<4978>は2003年に設立されたバイオベンチャーで、2013年にJASDAQに株式上場している。欧米のバイオベンチャーを相次いで子会社化し、ヒトiPS細胞に関わる研究試薬の製造販売から細胞製品の作製、創薬支援サービスに至るまでワンストップでグローバルに提供できる体制を構築した。2017年より再生医療分野に進出し、将来的には同市場で世界No.1企業を目指している。

成長戦略の第2段階目として創薬支援事業の強化を進めている。製薬企業等においてヒトiPS細胞を使った開発が活発化するなかで、「細胞製品」の販売だけでなく細胞作製の受託サービスの需要が国内外で拡大していることが背景にある。具体的な動きとして、iPS細胞の幹細胞培養技術を応用して、新規化粧品の共同開発を(株)キレートジャパンと開始したほか、ファンケル<4921>とヒトiPS細胞由来のモデル細胞の受託開発契約を締結したと発表している。医薬品の開発以外にもヒトiPS細胞を使った製品開発が広がりを見せ始めており、iPS細胞の作製ノウハウを持つ同社にとっては今後の事業規模拡大の好機となる。

また、第3段階目の成長戦略である再生医療分野への進出も2017年より開始する。2016年11月に台湾のバイオベンチャーであるSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント)と細胞医薬品に関する共同開発及び販売契約を締結し、ステミネントが台湾、米国で開発を進める細胞医薬品「Stemchymal®(以下、ステムカイマル)」について、国内で脊髄小脳変性症に対する治療薬としての開発を進めていくというもの。条件・期限付き早期承認制度を活用することで、2018年に治験を開始し2020年を目途に条件付きでの販売開始、2023年の本承認を目標としている。開発費用はマイルストーン支払費用(4億円)と治験費用を見込んでいる。

2017年3月期の連結業績は、売上高で前期比22.4%増の1,305百万円、営業損失で898百万円(前期は1,024百万円の損失)を見込む。売上高は創薬支援事業の拡大により2ケタ増収を見込むが、新規顧客獲得のためのマーケティング施策の実施等により、利益面では損失が続く見通しとなっている。なお、中期経営計画について新たに細胞医薬品の開発費用が追加されることになったため、2018年3月期以降の目標値の修正を行っている。最終年度となる2019年3月期は売上高で2,661百万円(前回と同じ)、経常損失で253百万円(前回は97百万円の利益を見込む)としている。

■Check Point
・ヒトiPS細胞の作製技術を基盤としたiPS細胞事業と臨床検査事業
・下期以降の売上拡大で、通期計画の達成目指す
・研究試薬事業と創薬支援事業を伸ばす計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 リプロセル Research Memo(1):2017年より再生医療分野に進出し、世界No.1を目指す