■会社概要

(1)アドバネクス<5998>の事業内容

同社グループは、精密ばねの大手である。選択と集中の一環として、2011年3月期にモータ事業、2013年3月期にヒンジ事業、2015年3月期にプラスチック事業をそれぞれ事業売却もしくは撤退したことにより、精密ばね事業専業となっている。

2016年3月期の市場別売上高構成比は、自動車が36.6%、OA機器が21.9%、医療機器が9.4%、携帯・精密機器が8.9%、PC・家電が6.1%、住設・インフラが4.8%、航空機が3.3%、その他が8.9%であった。2015年3月期以降、自動車が最大の顧客先となっている。

国内の取引先は約730社あり、製品種類は年に約11,700種類となる。世界で1、2位を争うドイツ系及び日系自動車部品メーカーと取引をしている。

(2)会社沿革と事業の経緯

1930年に初代社長が東京都にスプリング専門工場を設立して創業した。1946年に株式会社に改組し、社名を株式会社加藤スプリング製作所に、2001年に現在の株式会社アドバネクスに変更した。1964年に東証2部へ新規上場し、2004年に東証1部へ指定替えとなった。

1980年代以降、世界的なヒットを飛ばし、トップシェア製品を輩出した。音楽テープ用テープパッド(国内シェア70%)、ビデオテープ用リーフスプリング(世界シェア50%)、3.5インチフロッピーディスク用シャッター(世界シェア80%)、携帯電話用ヒンジ(世界シェア50%)、光ディスク用センターハブ(国内シェア90%)などである。現在は、医療用の留置針用ばねで国内シェア60%を獲得している。

海外への進出も早く、1971年に米国に子会社を設立したのを皮切りに、シンガポール、英国、香港、タイ、中国、ベトナム、メキシコ、ドイツに海外子会社を開設している。1988年に設立された英国の子会社は、英国国内の有力ばねメーカーを買収し、2工場体制を取っている。現在の主力製品は、医療機器用の精密ばね製品及び航空機産業や自動車市場向けの締結補強部品である。これらが、グループ会社の中で最も高い収益を上げている。

グローバルな生産体制は、国内の6拠点、海外の15拠点で形成されている。中長期計画に沿って、国内外の生産能力の拡大と販売網の拡充のための拠点展開をしている。2016年に国内で、省力化無人化に注力したスマートファクトリーの新工場の稼働を開始。海外では、アジアと米国で精密金属加工メーカーを買収し、欧州では販売会社の営業を開始し、製造子会社の設立も決定した。中期経営計画目標の達成のための施策に、次々と着手している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アドバネクス Research Memo(2):グローバル供給体制を持つ精密ばね専業メーカー