■今後の見通し

(1) 2017年9月期の業績見通し

アドバンスクリエイト<8798>の2017年9月期の連結業績は、売上高が前期比8.4%増の7,910百万円、営業利益が同7.9%増の1,030百万円、経常利益が同7.9%増の1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の600百万円と増収増益となる見通し。第2四半期累計はマイナス金利導入の影響がまだ残っており前年同期比で減益を見込んでいるが、第3四半期以降は増収増益トレンドに転換する見込みとなっている。事業セグメント別の売上見通しとしては、保険代理店事業及び再保険事業で増収、前期に急伸したメディア事業については保守的に見て横ばいとしている。また、手数料料率に関しては前期比横ばい水準を想定している。

申込ANPの月次動向を見ると、全体では7月以降前年同月比を上回っており、特に主力となる対面販売は2ケタペースで伸びるなど好調に推移している。引き続き業務プロセス・マネジメントの徹底により1人当たりANPの向上に取り組んでいることが奏効しているものと思われる。

特に、今期は損害保険商品の販売に注力する。対面型販売では生命保険や学資保険など長期契約の保険商品を主体に販売してきたが、これら商品はマイナス金利の影響もあって、今後も保険料の値上げや手数料料率の引き下げなどが想定されるなど、販売環境の厳しさが続くと予想されるためだ。損害保険商品では、主に自動車保険や火災保険などに注力する。これら商品についてはインターネット経由で契約する顧客も増加しているが、自動車保険ではカーディーラー経由での契約、また火災保険は未加入といった顧客もまだ多くいることから、顧客ニーズをヒアリングしながら最適な保険商品を提案し、販売契約を伸ばしていく方針だ。同社の保険代理店事業に占める損害保険商品の比率は1割強とまだ低く、同事業の成長に寄与するものと考えられる。

その他、今期の施策としては引き続き改正保険業法に対応した社内コンプライアンスチェック体制の充実やシステム化、情報セキュリティ体制の構築、研修制度の強化に取り組んでいく。改正保険業法は2016年5月に施行されたが、金融庁による検査・ヒアリングはこれから始まる予定となっている。社内管理体制等に不備がある場合は、改善が求められることになる。銀行の窓口販売も含めて競争環境は今後激化する方向にあり、保険代理店業界も淘汰が進む可能性がある。こうしたなかで、同社では改正保険業法への対応を2〜3年前より進め、提携代理店についてもその基準を満たさない代理店については絞り込みを進めるなど盤石の態勢を整えてきた。「保険市場」という圧倒的な集客ツールを持つ強みもあり、保険代理店業界の中においてシェアを維持もしくは上昇していくことが予想される。

マーケティング戦略としては引き続きSEO対策に加えて、SNSやキュレーションメディア、動画広告を活用した効果的なプロモーション活動を展開していく方針だ。SNSやキュレーションメディアを使ったプロモーションでは、特に女性層からの反響が大きく、学資保険や医療保険などの資料請求が増加している。また、バイラルメディア※によるプロモーションも試験的に始めているほか、今後はビッグデータやAI技術、位置情報なども活用し、より効果的なプロモーション活動も展開していく予定で、現在、検討を進めている。

※TwitterやFacebookなどのSNSで拡散されることを目的とした、動画や画像を中心に構成されたブログなどのメディア。

なお、店舗戦略について2016年9月期はコンサルティングプラザの一部店舗の統合と移転・増床を実施したが、2017年9月期は新規出店も含めて予定はない。一方、システム開発投資は継続していく方針で、AIを活用したより高度なセキュリティ対策や環境変化へのフレキシブルな対応を進めていく。

人材投資についても採用活動の強化や福利厚生制度の充実などを進め、新卒・中途採用含めて積極的に行っていく。新卒については2016年春に24名採用し、2017年は22名、2018年は50名を採用目標としている。中途採用については年間で約50名、自然減で約40名程度となるので、年々人員については増員していく格好となる。2016年9月末の従業員数は264名となっている。同社は創業当初より女性役員・女性役職者の登用を行っており、女性社員の活躍の場も広げている。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 アドクリ Research Memo(6):17/9期は増収増益となる見通し