■アイビーシー<3920>の事業内容と特長・強み

現在のIT(Information Technology)業界においては、クラウドコンピューティングやビッグデータの活用、リソースの仮想化などの技術が浸透するなかで、データ量の増大、ネットワーク環境やデバイスの多様化などによるシステム環境の変化が原因となり、障害予兆の特定が困難かつ複雑化していく問題がある。そしてネットワークシステムを介したサービス停止や通信遅延などの障害は、社会活動の大きな妨げとなる。

ネットワークシステム性能監視ツールとは、様々なメーカーのネットワーク機器や仮想サーバーの状況を俯瞰的かつきめ細かく収集して表示・解析・通知を行うツール(ソフトウェア)のことで、複雑化した情報通信ネットワークの稼働・性能状況を監視してネットワークシステムの障害発生を未然に防ぎ、ITインフラの性能維持・改善及びコスト削減を可能にする。そして高度化・複雑化かつブラックボックス化するネットワークシステムにおいて、ネットワークシステムの安定稼働や品質向上を実現するネットワークシステム性能監視ツールの重要性が一段と増している状況だ。

同社の事業内容は主に、マルチベンダーの機器で構成される複雑なネットワークシステム全体の稼働・性能状況を、精度の高いデータを取得して分析する「性能監視ツールの開発・販売及び導入支援サービス」、顧客のネットワークシステムに内在する問題点や課題を抽出して最適な改善策を提示する「分析・性能評価サービス」、ネットワークシステム設計・構築・運用支援の「コンサルティングサービス」である。

同社の技術は、問題・障害発生後に気付く従来型の手法ではなく、問題・障害の予兆をいち早く検知して未然に防ぐ新たな手法で、マルチベンダーに対応した製品の自社開発から現状評価・性能監視・運用支援に関するサービスをワンストップで提供している点が特長だ。

なお現在の事業別売上区分は、ネットワークシステム性能監視ソフトウェアに関わる自社開発製品のライセンス(ソフトウェア使用権)販売、自社製品導入支援やネットワークシステム構築に関わるコンサルティングなどのサービス提供、その他物販(他社製情報通信機器などの販売)としている。2016年9月期の事業別売上構成比は、自社開発製品ライセンスの販売が80.7%、サービスの提供が10.6%、その他物販が8.6%だった。自社開発製品ライセンス販売が収益の柱である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アイビーシー Research Memo(3):自社開発製品ライセンス販売が収益の柱