アイビーシー<3920>は、2002年10月設立、2015年9月東証マザーズに新規上場、2016年11月東証1部に市場変更した。ネットワーク機器・システムの稼働状況を監視し、障害発生の予兆などを検知するネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニーである。

自社開発製品であるネットワークシステム性能監視ソフトウェアのライセンス(ソフトウェア使用権)販売、自社製品導入支援やネットワークシステム構築に関わるコンサルティングなどのサービス提供、その他物販(他社製情報通信機器などの販売)を展開している。2016年9月期の売上構成比の約8割を占めるライセンス販売が収益の柱である。

現在の主力製品は、2011年7月にリリースしたネットワーク性能監視ソフトウェア「System Answer G2」シリーズで、2016年9月期のライセンス販売売上高のうち約9割を占めている。専門知識がなくてもネットワーク全体の状況を俯瞰できる使いやすさと、2016年9月期末現在で対応メーカー数108社及び分析ポイント数3,390ポイントのマルチベンダー対応を最大の特長・強みとしている。

収益面では高収益のストック型ビジネスモデルを特長としている。また四半期別業績は顧客の検収時期の影響を受ける傾向がある。同社製品のように100社を超えるマルチベンダー対応で使い勝手の良いネットワーク性能監視ソフトウェアは世界でも類がなく、ライセンス販売における継続利用率は極めて高い。

同社の2017年9月期の業績(非連結)予想は、売上高が2016年9月期比14.4%増の1,305百万円、営業利益が同19.1%減の236百万円、経常利益が同37.0%減の210百万円、当期純利益が同35.4%減の126百万円としている。配当は未確定としている。中期成長に向けた積極的な先行投資で販管費が増加するため減益予想だが、ネットワーク性能監視ソフトウェア「System Answer G2」のライセンス販売が引き続き好調に推移し、2016年11月に開始したクラウドインテグレーションサービスも寄与する。導入企業の増加により、増収基調であることに変化はなく、トップラインの成長を維持しつつ、先行投資負担で一時的な減益見込みとしている。

中期成長に向けた事業戦略としては、アライアンスも活用したサービス領域拡大や成長分野進出、パートナー企業との連携強化による販売促進やサービス型販売促進、次期製品開発への取り組み(情報監視機能への対応)などを掲げている。なお情報監視機能に対応した次期製品は2017年4月中旬販売開始予定としている。

システム性能・稼働監視ソフトウェア市場は拡大基調にある。クラウドコンピューティングやリソース仮想化などの技術が浸透し、ネットワークシステム全体が一段と高度化・複雑化かつブラックボックス化している状況を考慮すれば、100社を超えるマルチベンダー対応に強みを持つ同社製品の競争優位性が一段と鮮明化することが予想され、中期成長への期待が高まる。

■Check Point
・ネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニー
・100社を超えるマルチベンダー対応が強み
・高収益のストック型ビジネスモデル
・2017年9月期は先行投資負担で一時的減益だが10期連続の増収見込み
・情報監視機能に対応した次期製品を2017年4月販売開始予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アイビーシー Research Memo(1):2016年11月に東証1部指定、中期成長に向けた事業戦略の強化を進める