■決算動向

(2) 2017年3月期上期決算の概要

ダイコク電機<6430>の2017年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比16.7%減の20,187百万円、営業利益が同25.7%減の605百万円、経常利益が同22.0%減の706百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同21.9%減の329百万円と減収減益であった。特に、売上高は計画を下回る結果となっている(各利益は計画超過)。

前期業績の足を引っ張った自主規制の影響に加え、2016年12月末を期限とする「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が具体的に動き出すなど、厳しい市場環境が続くなかで、売上高は情報システム事業及び制御システム事業とともに低調に推移した。特に、情報システム事業では、パチンコホールの投資意欲の冷え込みを背景とした新店及び改装店舗の減少により製品販売が大きく落ち込んだ。一方、制御システム事業についても、パチンコ遊技機メーカーのリリース計画の変更に伴い、複数機種が下期以降にずれ込んだことが計画を下回る要因となった。

一方、損益面では、減収による利益の下押しや販管費の増加(自社開発パチスロ機の販売にかかる費用増等)により減益となったものの、情報システム事業では、新製品の販売が比較的好調であったことや販管費の一部が下期にずれ込んだこと、制御システム事業でも、同社が携わった機種の販売台数が好調に推移したことにより計画を大きく上回る水準を確保した。なお、研究開発費については、両事業合わせて1,711百万円(前年同期比33.2%減)に減少したがほぼ想定どおりと言える。

財務面では、総資産及び自己資本ともに目立った動きはなく、自己資本比率も63.0%(前期末は62.1%)と高い水準を維持している。また、有利子負債も3,300百万円(前期末比2,200百万円減)に減少している。

事業別の業績は以下のとおりである。

a)情報システム事業は、売上高が前年同期比18.4%減の13,126百万円、セグメント利益が同7.1%増の1,414百万円と減収ながら増益となった。計画に対しても、売上高が下回ったものの、利益では上回る結果となっている。「回収・撤去」の問題が具体的に動き出したことでパチンコホールの投資意欲が冷え込み、新店及び改装店舗数が減少したことが製品販売の落ち込みを招いた。厳しい業界環境を踏まえ、もともと保守的な予想をしていたものの、売上高はそれをさらに下回る格好となった。特に、ホールコンピュータの販売台数が前年同期比24台減の30台(期初計画は50台)にとどまるとともに、周辺機器全般が低調に推移した。

一方、セグメント利益が計画を大きく上回ったのは、新型情報公開端末「REVOLA」の販売が比較的好調であったこと(計画比110.6%)や販管費の一部が下期にずれ込んだことが要因である。また、情報システム事業における研究開発費は1,093百万円(前年同期比43.2%減)と減少したが、ほぼ想定内である。

なお、同社が安定収益源として推進しているMGサービスの売上高は、前年同期比9.4%増の2,044百万円と順調に伸びており、ストック型の収益構造への転換には進展がみられる。

b)制御システム事業は、売上高が前年同期比12.9%減の7,093百万円、セグメント利益が同72.9%減の95百万円と減収減益となった。こちらも計画に対しては、売上高が下回ったものの、利益では上回る結果となっている。パチンコ遊技機メーカーのリリース計画の変更に伴い、複数機種が下期以降にずれ込んだことが業績の足を引っ張った。販売機種数が前年同期比3機種減の4機種(計画では6機種)、販売台数は前年同期比61.5%減の32,054台(計画比49.3%)と減少したことから、主力のパチンコ遊技台向けの表示ユニット等が大きく落ち込んだ。一方、自社開発パチスロ遊技台については、計画どおり1機種(前年同期は販売実績なし)をリリースし、販売台数は8,800台に上った。

一方、セグメント利益が期初予想を上回ったのは、同社が携わった機種の販売台数が好調に推移したことが要因である。なお、制御システム事業における研究開発費も618百万円(前年同期比2.7%減)と僅かに減少したが、こちらもほぼ想定内である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイコク電 Research Memo(6):17/3期上期は厳しい市場環境が影響し、減収減益で着地