以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家元・社長氏(ブログ「元投資顧問会社社長のチラシの裏」)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年1月5日10時に執筆


2020年の東京オリンピック・パラリンピックを睨み、東京都は電線地中化を進めています。

この電線地中化のメリットは『景観・観光』、『安全・快適』、『防災』の観点から推進しており、国土交通省が主導で行っているため、国策と位置付けられています。

今回は現在進行形で、且つ長期メリットもある、電線地中化関連銘柄を深堀解説したいと思います。

※無電線化、電線類地中化、無電柱化など様々な呼称がありますが、ここでは一貫して電線地中化と表記いたします。


■電線地中化の歴史
誰もが見たことのある電柱と電柱を結ぶ電線。

もう見慣れてしまったから何とも思いませんが、どの街を見渡しても電柱が電柱を繋ぎ、そして家に辿り、大都市になればなるほど電線だらけで景観なんて二の次。

パソコンやテレビの裏のコード類がぐちゃぐちゃになっている様子を思い出してしまいます。

こうした景観に悪影響を与えている電柱を撤去し、電線を全て地中に収めてしまおうというのが電線地中化となります。

日本では1928年に初めて電線地中化が行われたと言われています。場所は兵庫県芦屋市。高級住宅街でも有名な六麓荘町に導入されました。

その後も全国各地で電線地中化を実施。

1995年には、電線共同溝の建設及び管理に関する特別の措置等を定め、特定の道路について、電線共同溝の整備等を行うことにより、当該道路の構造の保全を図りつつ、安全かつ円滑な交通の確保と景観の整備を図ることを目的として制定された法律電線共同溝の整備等に関する特別措置法が制定されました。

一言で言えば、国が主導して電線地中化を推進し始めたという事ですね。

昨年12月9日にも、小池百合子東京都知事が発足人となって作られた無電柱化推進議員連盟、無電柱化小委員会によって作成された無電柱化推進法案が全会一致で成立。

電線地中化関連銘柄には追い風となっています。


■電線地中化がもたらすメリット・デメリット
メリットもあればデメリットもある電線地中化。

やはり一番の影響は、地中に電線を収める事によるコストがかかる事と言えます。

しかし、それ以上に多くのメリットがあるからこそ推進されているのも、また事実です。


▽景観を改善
乱立した電線、電柱を地中に収める事によって損なわれた景観を改善。

歴史的な街並みの保全等の観点から、より一層電線地中化が求められています。


▽防災の向上
電線を地中に収める事により、強風や雨で電線が切れる可能性が低くなります。地中に電線を埋設してしまうと保守・点検作業が面倒になるんじゃないの?と思う方もいるでしょうが、蓋を開けて地中に入れば簡単に点検ができます。

地中に張り巡らすという事からも耐水性もあり、断裂し難い工夫もされているようです。

ただ、万が一断裂してしまった場合は、地上にある電線より修繕が大変という側面もあります。

阪神淡路大震災時には電柱が倒壊し、断裂した電線が火災を発生させました。そのようなリスクを軽減するのも電線地中化のメリットとして語られています。


▽安全で快適な通行空間の確保
歩行者専用道路に於いて、ベビーカー、車椅子利用者、身障者のためのバリアフリー化や盲人のための視覚障害者誘導用ブロックの敷設も、邪魔な電柱が無くなるため簡単になります。


▽地価の上昇
土地を建てる際に制限がなくなる事から、電線地中化により地価が上がるとも言われています。

概ね7%ほども影響を与えると調査結果で出ていることから、電線地中化の街が多くの人から選ばれ始めています。


■世界の各都市では電線地中化が進んでいる?
日本では国家主導で推進されている電線地中化。それでは海外はどうなのでしょうか?

ロンドンやパリ、イギリス、ベルリンなどの多くの主要都市では電線地中化が概成されています。ロンドンやパリ、香港は電線地中化率100%なのに対し、日本はまだまだであり、東京でさえも進捗率は7%と10%にすら届いていません。

つまり、日本の電線地中化は世界には遅れをとっていると言えます。

しかし逆に考えれば、それだけ伸びしろがあるマーケットと考えられますね。


■電線地中化関連銘柄
▽ゼニス羽田<5289>
マンホールなどの下水道製品やコンクリート二次製品を中心に取り扱う企業。

車道下に設置されるBOX型特殊部に使用する電線共同溝斜人孔付特殊部スロープホールを手掛けており、電線地中化を含む防災関連コンクリート製品に強みを持っています。


▽イトーヨーギョー<5287>
マンホール・管路関連のコンクリート製品を製造・販売する企業。

「D.D.BOXシリーズ」や「S.D.BOX」など、電線ケーブルを収納できるコンクリートボックス製品をメインで扱っています。電線地中化関連銘柄の本命と位置付ける投資家も多い企業です。


▽旭コンクリート<5268>
下水排水に使用されるボックスカルバートなどのコンクリート二次製品の製造、ボックスカルバートなどの敷設工事、工事用資材などの販売を手掛ける企業。

マンホールや災害用トイレ、電線地中化製品を取り扱っています。ケーブルボックス方式で電線地中化を行う際に用いられるボックスカルバートが主力製品。


▽その他の電線地中化銘柄一覧
コムシスHD<1721>
大盛工業<1844>
中電工<1941>
関電工<1942>
きんでん<1944>
住友電設<1949>
協エクシオ<1951>
タイガポリ<4231>
日ヒュム<5262>
日コン<5269>
ヤマックス<5285>
虹技<5603>
FCM<5758>
古河電<5801>
フジクラ<5803>
昭電線HD<5805>
東特線<5807>
タツタ<5809>
沖電線<5815>
那須鉄<5922>
長大<9624>
泉州電<9824>



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執筆者名:元・社長
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情報提供元: FISCO
記事名:「 【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家元・社長:度々話題になるテーマ株は要チェック!電線地中化関連銘柄を深堀特集