■業績動向

(2) 2017年3月期予想

ベネフィット・ワン<2412>の2017年3月期の業績予想は、期初予想が据え置かれている。すなわち、売上高が前期比15.9%増の30,200百万円、営業利益が同22.8%増の5,350百万円、経常利益が同24.0%増の5,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.9%増の3,500百万円である。

当第2四半期の営業利益と経常利益が計画値をそれぞれ4割強上回ったものの、事業ごとの進捗には差がみられ、不確定要素もあることから、通期予想は修正していない。第2四半期において、パーソナル事業の個人会員獲得が計画未達となった。2017年4月のパーソナル会員数を、前年比173百万人純増の400万人と計画していたが、現時点では100万人のショートもあり得ると想定している。既存大手協業先の会員獲得方法の変更や、新規協業先のスタート後倒しが影響している模様だ。そのことによる利益へのインパクトは、1億~4億円と見ている。ただし、第2四半期の時点で、営業利益は計画を803百万円上回っている。

過去4期の上・下期比率は、売上高ではおおむね46:54、営業利益では32:68~37:63と下期偏重がみられる。2017年3月期の期初予想における上・下期比率は、売上高が44.9:55.1、営業利益が32.1:67.9であった。上期の実績を踏まえた直近予想では、売上高が47.5:52.5、営業利益が47.2:52.8となり、営業利益の下期のウエイトが、過去4期の63~68と比べ低くなる。前述の個人会員獲得以外に不確定要素がないとすれば、現在の通期予想はコンサバティブと言える。今後の事業進捗に伴い、よりクリアな見通しが立てられていくであろう。

今通期の事業別予想では、福利厚生+パーソナル+CRMの売上高が20,092百万円(前期比11.8%増)営業利益は4,770百万円(同11.4%増)を見込んでいる。インセンティブ事業は、売上高が3,065百万円(同25.5%増)、営業利益が454百万円(同36.6%増)と高成長を予想している。第2四半期末のポイント残高は、期初比3億円増の39億円となった。下期は、来期に向けた新規取引先でのポイント付与拡大に注力する。代理店やアライアンス先を活用して、見込み顧客発掘を推進する。ヘルスケア事業は、売上高が4,511百万円(同6.0%増)、前期の営業損失33百万円から営業利益150百万円と黒字に転じる。2015年度はオペレーション体制整備のため新規営業を半年間ストップしていたが、今期になって再開しV字回復を果たす。データ入力のシステム化によるオペレーションコスト低下を図っており、黒字基調の定着が見込まれる。健康ポイント関連で企業からの受注に加え、地方自治体からの需要顕在化が期待される。同社は、健康ポイントにインセンティブ事業の経営リソースを活用できることが強みとなる。海外事業は、日系企業だけでなくローカル企業の顧客獲得が黒字化のポイントとなる。増収基調にある国では、優秀なローカルマネジャーの採用がローカル会員の獲得につながるというパターンがみられており、他拠点でも同様の手立てを講じる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ベネ・ワン Research Memo(9):上期の実績を勘案すると、通期予想はコンサバティブである