■メディカルシステムネットワーク<4350>の業績動向

(2)事業セグメント別の動向

a)医薬品等ネットワーク事業
医薬品等ネットワーク事業の売上高は前年同期比7.3%増の1,617百万円、営業利益は同0.6%減の838百万円となった。9月末のネットワーク加盟件数が前年同期比317件増の1,597件と順調に増加したことで、第2四半期累計期間における医薬品発注取扱高は同13.9%増の65,628百万円と上期としては過去最高を連続で更新した。

売上高の内訳を見ると、医薬品発注取扱高の拡大に伴い受発注手数料が前年同期比6.2%増の961百万円となったほか、加盟件数の増加に伴いシステム販売も同11.0%増の553百万円となった。一方、利益面では基幹システム構築に伴う減価償却費の増加や営業体制強化のための人員増に伴う人件費の増加が響いて減益となった。

b)調剤薬局事業
調剤薬局事業の売上高は前年同期比1.6%増の39,858百万円、営業利益は同49.6%減の706百万円となった。店舗数は新規出店で7店舗、M&A及び事業譲受により17店舗取得した一方、3店舗の閉鎖及び事業譲渡を行い、合計で前期末比21店舗増の374店舗となった。

売上高については新規出店やM&Aによる店舗数の増加により若干ながら増収を維持したものの、利益面では2016年4月に実施された調剤報酬改定や薬価改定に伴う処方箋単価の低下、並びに「かかりつけ薬局」としての店舗の機能強化に向けて薬剤師の増員を進めたことによる人件費の増加等が影響して大幅減益となった。また、処方箋枚数についても既存店ベースで前年同期比0.4%増と期初計画の同1.9%増を下回り、同事業の利益下振れの主因となった。

既存店ベースの処方箋単価については、前年同期比3.8%減となった。内訳を見ると、薬剤料で4.3%減、技術料で1.8%減となり、薬価改定の影響が大きく出た格好だ。前年同期はC型肝炎治療薬で高薬価の新薬が発売された影響もあって6.1%の大幅上昇となったが、同治療薬の薬価が今春から32%引き下げられたことも影響したと見られる。一方、技術料に関しては調剤報酬改定に伴い低下したものの、計画に対しては若干上回った。なお、9月末の薬剤師数は臨時社員も含めて前年同期比106名増の1,295名となり、1店舗当たりの平均薬剤師数は3.4名から3.5名に増加している。

c)賃貸・設備関連事業
賃貸・設備関連事業の売上高は前年同期比36.4%減の989百万円、営業損失は85百万円(前年同期は211百万円の利益)となった。前年同期に一過性の販売用不動産の売却益242百万円を計上した反動が出た格好だが、その影響を除いても利益面ではやや悪化している。これは「サ高住」で2015年12月に開業した「ウィステリア小樽稲穂」及び2016年5月に開業した「ウィステリア千里中央」にかかる減価償却費や立上げ負担等が増加したことが主因となっている。

2016年9月末時点の入居状況は、「ウィステリア小樽稲穂」(北海道)が全81戸中77戸とほぼフル稼働に近い状況となっている。一方、「ウィステリア千里中央」(大阪)は全82戸中11戸となっている。通常は3年程度で入居率が90%を超え黒字化するが、「ウィステリア小樽稲穂」については賃料が月額5万円台と安価だったことから、早期に入居率が90%を超えている。なお、「ウィステリアN17」(北海道、2007年開業)「ウィステリア清田」(北海道、2013年開業)についてはいずれも入居率が92%となっており、既に黒字化している。

d)給食事業
給食事業については2015年10月に九州医療食を子会社化した効果により、売上高は前年同期比110.9%増の2,315百万円となったものの、利益面では食材仕入れコストの増加や人員不足による人材派遣の利用等により労務費が増加したこと等により、営業損失102百万円(前年同期は24百万円の損失)となった。

e)その他事業
その他事業(治験施設支援事業、訪問看護事業)については、売上高が前年同期比3.8%増の77百万円、営業損失が86百万円(前年同期は59百万円の損失)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<TN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 メディシス Research Memo(4):加盟件数増加で17/3期2Q累計における医薬品発注取扱高は上期の過去最高