桑山<7889>は、国内トップの総合ジュエリーメーカーで、製造のみならず、企画・デザインから販売・アフターサービスまでをカバーしている。

●会社概要
百貨店のアクセサリー・宝飾品の売り場や全国規模のジュエリー販売会社が主な顧客で、金やプラチナ、ダイヤモンド、真珠などを使用して同社が製品を製造・供給する。売上高構成比は、OEM(Original Equipment Manufacturing)・ODM(Original Design Manufacturing)事業が約3割、ダイヤ・パールなどの素材販売が約3割、貴金属チェーンの製造販売が約2割、海外が約2割となっているが、総合力を生かしたOEM・ODM事業が中核事業となっている。同社は製品の品質はもちろんのこと、デザインや企画力、製造技術や製品の安定供給にも強みがあり、国内市場が縮小傾向に推移する中でも顧客の支持を得て販売シェアを伸ばしている。

●第2四半期決算:地金と為替市況の変動で差損を計上した前年同期から回復し、大幅増益
2017年3月期第2四半期連結決算(4月−9月期累計)は、売上高が前年同期比0.4%減の17,670百万円、営業利益が同217.0%増の911百万円、経常利益が同136.4%増の659百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同209.5%増の427百万円だった。前年同期は貴金属地金相場の下落に伴う販売差損や在庫の評価損が発生し利益が落ち込んでいたこともあり、当第2四半期では前年同期との比較で大きな伸びを示した。なお、2016年3月期は、商品と為替市況の大きな変動に起因し、多額の実損と評価損を計上、大きな減益に陥った。

●今後の成長への道筋が示されることを期待したい
国内では製造力や製品開発力を競争力として販売シェアを拡大するとともに、今後著しい成長性が見込める中国市場を深耕する。特に、中国国内でチェーン展開する信頼性の高い大手小売会社とパートナーシップを組み、同社の強みである高い品質や安定供給を前面に事業を推進するようだ。中国の先には米国や東南アジアも視野に入れている。

同社は、中期経営計画を策定しているが、同社内での共有と利用に留まり公表はしていない。計画を公表する際には一定の確度と情報を持って臨みたいという投資家などに対する真摯な姿勢は好ましいが、今後、中長期ではどの程度の利益成長を見込んでいるかなどの展望が何かしらの形で遠くない将来に示されることを期待する。

■Check Point
・国内トップの総合ジュエリーメーカー。OEM・ODM事業が中核となっている。
・前期は、地金と為替市況の大幅変動に起因し、評価損を含む多額の差損を計上。第2四半期決算は前年同期より大きく回復、通期業績予想に対する進捗率も高い。
・国内の販売シェアの拡大と中国市場の深耕で成長を求める。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 桑山 Research Memo(1):前期比で大幅増益、強みを生かして今期は着実に前進