イーレックス<9517>は電力小売事業を展開する独立系の新電力(PPS)企業。競争力のあるベースロード電源、機動的な販売戦略といった特長を武器に、2016年4月からの電力全面自由化の流れのなかで高成長を目指している。

2017年3月期第2四半期決算は、売上高13,965百万円(前年同期比24.9%増)、営業利益1,461百万円(同207.9%増)と大幅な増収増益で着地した。大口顧客の高圧分野と一般家庭などの低圧分野の双方で契約数が順調に拡大した一方、安価かつ安定的な電源調達ができたことが原因だ。通期予想に対する利益の進捗度は50%を大きく上回っており、需要期となる冬場を控えて一段の業績拡大に期待が高まる。

中期経営計画『Dash 1000』の進捗も順調だ。計画の中核である自社電源確保については、この11月から佐伯発電所が計画どおり商業運転に入り、現在の中期経営計画(DASH1000)期間中の収益計画の達成の前提条件が整った。さらに、その後の売上高1,000億円達成の前提となる、大船渡・豊前両発電所の建設計画が正式に発表されている。ともに発電出力75MWとバイオマス発電では国内最大級の規模を有し、PKSを主体とする燃料を使用し、競争力のある発電所となる見通しだ。両発電所とも2019年秋の完成を目指して、今下期に建設工事がスタートの見込みだ。

業績は今後も順調に推移すると予想される。高圧分野では代理店による顧客契約が順調に進むなか、収益性の高い顧客の比率を高めている。この傾向と業績へのプラス影響は2017年3月期第2四半期において既に確認できている。低圧分野ではLPG販売会社等との業務提携による契約獲得を目指している。現状は提携先企業の顧客(同社にとっての潜在顧客)数が300万件を超えてきている状況だ。2016年9月末の顧客契約数は約25,000件になり、今期末の目標値である53,000件の達成は確実視されている。

現状の顧客増加ペースが来期も続けば、『Dash 1000』で掲げる2018年3月期の業績計画は無理なく達成可能だと弊社ではみている。需要を満たすための電力の確保も、佐伯発電所の稼働により安定感が向上した。佐伯で発電した電力は、顧客数の拡大で小売電力に回されるが、余剰電力はJEPX(日本卸電力取引所)で卸売される。これも利益押し上げ要因として期待される。同社は顧客ポートフォリオの最適化で調達余剰電力の収益化に注力しており、『Dash 1000』の業績計画において特に利益の達成可能性は十分高いと弊社では考えている。

■Check Point
・低圧分野の目標契約数を上方修正し5.3万件を目指す
・大船渡市と豊前市で75MWクラスのバイオマス発電所の建設計画
・17/3期は2ケタの増収増益の見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イーレックス Research Memo(1):足元の業績、中期経営計画ともに、順調に進捗中