*10:56JST 8月のくりっく365、ドル円および豪ドル円はともに一進一退か 東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2023年7月の取引数量が前月比6.0%減の258万6333枚、1日の平均取引数量は12万3162枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は4769.38億円と前月比で50.8億円増加した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、トルコリラ、豪ドル、南アフリカランドの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、7月の取引数量が前月比21.1%減の347万9377枚、1日の平均取引数量は16万5685枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は830.92億円となり、前月比で18.92億円の増加となった。

取引数量トップは米ドル・円で90万4220枚(前月比16.1%増)。7月14日に一時1ドル=137円台20銭台まで下落する場面があった。米国の6月の消費者物価指数(CPI)および卸売物価指数(PPI)が市場予想以上に鈍化したことで、追加利上げ懸念が後退したことがドル売り・円買いを誘った。一方、依然として大幅な日米金利差などを背景にその後は再び1ドル=141円90銭台にまで上昇。しかし、日本銀行が金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)を柔軟化するとの観測報道を受けて28日には138円00銭台まで下落。ただ、植田総裁の会見を受けて、日銀の政策は依然として金融緩和的との見方が強まったことで、月末には140円台を回復して終えた。

トルコリラ・円は30万5398枚(前月比30.5%減)。当局のリラ買い・ドル売りにより、対円でもリラは下げ渋る場面があった。しかし、高インフレや経常収支赤字による通貨安圧力が続くなか、6月の金融政策決定会合での利上げ幅が市場予想を大幅に下回った失望感も残り、じわじわとリラ安・円高が進んだ。7月会合での利上げ幅も2.5ポイントと市場予想で最も多かった3.0ポイントを下回り、月末にかけてもリラ安基調が続いた。

8月のドル・円は一進一退か。8月1日に格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを引き下げた。また、財政赤字の補填を目的に米財務省が中長期債の発行規模を引き上げたことで、国債需給の緩みが懸念され、米10年債利回りは3日に一時4.19%と約9カ月ぶりの水準にまで上昇。一方、日本でも日銀の政策修正への解釈が定まらないなか、じわりと金利上昇圧力が続いている。日本の10年国債利回りは3日に0.655%と、日銀が長期金利の上限の目途としている0.5%を大きく上回る水準にまで上昇した。日米の長期金利がともに上昇するなか、日米金利差を理由としたドル円取引は方向感が定まりにくいだろう。

豪ドル・円は一進一退か。豪中央銀行は市場予想が割れるなか7月4日の理事会で3会合ぶりに政策金利を4.10%で据え置いた。8月1日の理事会でも2会合連続で据え置きを決定した。また、4日に公表した四半期金融政策報告では経済成長率と物価の見通しを下方修正した。インフレは沈静化に向かっていて、追加利上げが必要かどうか検討する時間が必要と指摘。追加利上げ期待が後退したことは豪ドルの下押し圧力になる。また、同国の世界シェアが大きい石炭や鉄鉱石の価格が低迷していることも重しとなる。一方、経済面での結び付きが強い中国において当局による追加の景気対策が打たれていることは豪ドルのサポート材料となる。強弱材料が混在するなか、豪ドル・円は一進一退が予想される。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 8月のくりっく365、ドル円および豪ドル円はともに一進一退か