8日の日経平均は小幅反発。35.65円高の27284.52円(出来高概算12億8000万株)で取引を終えた。前日の下げの反動から自律反発を狙った買いが先行したほか、好決算銘柄への見直し買いなどが入り、前場中盤には一時27461.33円まで上げ幅を広げた。ただ、心理的な節目である27500円を目前に戻り待ちの売りなどが出たほか、時間外取引での米株先物も軟調に推移しているため、今夜の米国市場を警戒して、買い一巡後は、27300円前後でのもみ合いが続いた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄が1200を超え、全体の6割近くを占めた。セクター別では、海運、水産農林、陸運、空運、鉄鋼など23業種が上昇。一方、パルプ紙、精密機器、その他製品、その他金融、繊維製品など10業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、KDDI<9433>、ファナック<6954>、東エレク<8035>、キッコーマン<2801>、リクルートHD<6098>がしっかりだった半面、オリンパス<7733>、バンナムHD<7832>、ソフトバンクG<9984>、テルモ<4543>、NTTデータ<9613>が軟調だった。

前日の米国市場は高安がまちまちだったものの、自律反発を狙った買いなどが優勢となった。また、岸田首相が前日に1日100万回のコロナワクチン接種を目指す方針を表明したほか、コロナ治療の経口薬の早期承認が報じられ、経済活動の再開への期待が相場を支えた。米国でも、新型コロナ新規感染者数が1月のピークから足元で3分の1程度まで減少しており、レジャー関連株が値を上げたことも東京市場での物色の手掛かりとなった。ただ、米国のインフレ動向を確認するためにも、10日発表される1月消費者物価指数(CPI)の内容を確認したいとの見方が多く、積極的な売買を手掛ける向きは少ないようだ。

米長期金利は時間外取引で1.95%近辺へとじり高歩調をたどっているため、米株市場では、金利動向に敏感な成長期待の高いグロース株への悪影響が懸念される。日本のハイテク関連株は売られすぎとの指摘も一部では聞かれ、足元では底堅い動きが続いているが、米国で長期金利がさらに上昇し、米国テック関連株が値を崩すような事態になれば、東京市場でも売りが膨らむ可能性が残る。このため、CPIの結果と米国金融市場の動きを見極めるまでは、決算銘柄を中心にした個別物色の色彩が一段と強まりそうだ。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 自律反発を狙った動きも米CPI待ちで上値追いは慎重【クロージング】