30日の日経平均は4日続落。91.63円安の29452.66円(出来高概算15億5000万株)で取引を終えた。中国の経済指標の悪化や米国の債務上限問題など懸念要因が多く、買い見送りムードが広がり、一時29311.34円まで水準を切り下げる場面があった。ただ、緊急事態宣言の全面解除に伴う経済正常化期待や岸田新総裁による経済対策期待、上半期末のお化粧買いに対する期待もあり、後場半ばには29622.27円と上昇に転じる場面も見られた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄が1300に迫り、全体の6割近くを占めた。セクター別では、陸運、医薬品、小売、その他製品など10業種が上昇。一方、海運が10%を超える大幅な下落となったほか、輸送用機器、電気ガス、ゴム製品、非鉄金属など22業種が下落。ガラス土石が変わらずだった。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、塩野義<4507>、オリンパス<7733>、NTTデータ<9613>、京セラ<6971>が堅調だった半面、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、信越化<4063>、トヨタ<7203>、アドバンテス<6857>が下落した。

前日の急落の反動から押し目買いの動きが先行したが、中国の9月製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.6となり、市場予想(50.1)を下回ったことが売りを誘った。また、米国でも債務上限問題が不安材料となっているだけに、米中の懸念要因が世界経済の先行き不安につながっている。一方、岸田新総裁は前日の記者会見で「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」などと表明しており、改めて政策期待も下支え要因になった。

本日は、月末、上半期末で、持ち高調整という特殊な要因に加え、日経平均の銘柄入れ替えに伴うリバランスといった需給要因が重なり、方向感が読みづらい展開となった。ただ、中国の不動産業界の債務問題が引き続き警戒されるほか、明日は寄り付き前には9月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)の発表を控える。名実ともに下期入りするが、内憂外患の状況に変化はない。また、関係者からは「10月4日に発足する見通しの岸田新内閣の顔ぶれが判明するまでは、動かないほうが得策なのではないか」との声も聞かれた。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米中懸念から見送りムード広がる【クロージング】