29日の日経平均は反発。200.76円高の27782.42円(出来高概算11億6000万株)で取引を終えた。米ハイテク株高を映して、半導体関連株など指数寄与度の高い値がさ株などを中心に値を上げる銘柄が目立った。また、米メディアが日本時間の昼ごろに「中国の証券監督当局は上場基準を満たしている限りは、米国での新規株式公開(IPO)を引き続き認める方針だと通知した」と伝わり、中国のIT企業株式を複数保有しているソフトバンクG<9984>が上伸したことも投資家心理を改善させた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄数は1200を超え、全体の6割近くを占めた。セクター別では、精密機器、海運、電気機器など18業種が上昇。半面、陸運、空運、食料品など15業種が下落。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG、アドバンテス<6857>、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、ファナック<6954>が堅調で、これら5銘柄で日経平均を約193円押し上げた。一方、エムスリー<2413>、TDK<6762>、KDDI<9433>、キヤノン<7751>、サイバー<4751>が軟化した。

前日の米国市場は、ハイテク企業を中心に好決算を発表した銘柄が買われ、ナスダック総合指数は反発した一方、NYダウは続落するなど高安まちまちだった。経済規模の大きいフロリダ州やテキサス州などで新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大しており、経済再開の遅延が警戒されているが、米ハイテク関連株高が支援材料となり、決算が評価されたアドバンテスのほか、東エレクなど指数寄与度の高い値がさ株中心にしっかりしていた。また、家庭用ゲーム機「PS5」の販売台数が1000万台を超えたソニーG<6758>、好決算を発表した日産自<7201>も値を上げた。

日経平均はひとまず反発する形となったが、東京では新型コロナの新規感染者が前日に3000人を突破するなど拡大傾向が続いているため、国内景気の先行き不安が高まっている。また、8月22日までの緊急事態宣言の拡大への懸念もある。主要企業の第1四半期決算の発表が本格化しており、業績動向を確認し、これまで続いた金融相場から業績相場に意向できるのか見極めたいとの声も多く聞かれた。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米ハイテク株高や中国IT企業への懸念後退から買いが優勢に【クロージング】