17日の日経平均は続落。272.68円安の29018.33円(出来高概算9億9000万株)で取引を終えた。米FOMC会合では利上げ開始時期が当初計画より早まる可能性が出てきたことから長期金利が上昇するなか、指数寄与度の大きいコア銘柄を中心にリスク回避の流れが波及。一時28875.39円まで下押し、取引時間中としては、11日以来4営業日ぶりに29000円を割り込む場面が見られた。ただ、心理的な節目を割り込んだことに伴い押し目を拾う動きや、円相場が1ドル=110円台半ばへと円安が進んでいることが下支え要因となり、売り一巡後は安値圏でのもみ合い展開となっていた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄が1400を超え、全体の6割超を占めた。セクター別では、鉱業、保険、銀行、倉庫運輸など9業種が上昇。一方、サービス、精密機器、医薬品、鉄鋼、情報通信、機械など24業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、エーザイ<4523>、ファーストリテ<9983>、トヨタ<7203>が売り一巡後に上昇に転じた一方で、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>、中外薬<4519>、京セラ<6971>が軟調だった。

注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による金利見通しは、利上げ開始時期が2023年とこれまでの2024年から前倒しされ、23年末までに2回の利上げを見込んでいることを示唆。量的緩和縮小開始の議論を通り越して、利上げ開始時期の前倒しに関心がシフトしたため、東京市場もハイテク関連株などを中心に売りが先行した。こうしたなか、朝安のトヨタやファーストリテが切り返したほか、エーザイが買い直された。また、個別材料が出た三菱重<7011>やトレックスセミ<6616>などが上昇した。

きょうの市場は、FOMCの結果を受けて先物主導で下落する格好となったが、日経平均は大引けでは29000円を上回っており、相場全般は意外としっかりとした展開が続いたとの指摘も聞かれている。日経平均が心理的な節目である29000円を割り込むと押し目買いを入れる向きも増えてきているだけに、冷静に見ている市場参加者は多いようだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米国の早期の利上げ観測を警戒し先物主導で下落【クロージング】