15日の日経平均は続伸。279.50円高の29441.30円(出来高概算9億7000万株)で取引を終え、5月10日以来約1カ月ぶりの高値水準に達した。前日の米ハイテク株高や円安進行を映して、輸出関連株や半導体関連株などを中心に買い戻しの動きが先行。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果待ちとのムードも強く、前場半ばに29400円台に乗せた後はもみ合いが続いたものの、大引け間際には一時29480.85円まで上げ幅を拡大させ、心理的な節目である29500円にあと一歩と迫った。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄が1200を超え、全体の5割超を占めた。セクター別では、医薬品、金属製品、精密機器、食料品、輸送用機器など27業種が上昇。一方、空運が2.60%と大きく下落したほか、証券・商品先物、鉄鋼、その他金融など6業種が冴えなかった。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、エーザイ<4523>、テルモ<4543>、中外薬<4519>が堅調。半面、ファーストリテ<9983>、エムスリー<2413>、ソフトバンクG<9984>、大日住薬<4506>が軟調だった。

前日の米国市場は、長期金利が1.5%を下回っての落ち着いた動きとなったことなどから、ハイテク関連株が買われ、S&P500種指数が過去最高値を更新したほか、ナスダック指数は終値ベースで最高値を更新。さらにSOX指数も上昇したため、東京市場でも半導体関連株や電子部品株などを中心に値を上げる銘柄が増えた。また、円相場が1ドル=110円前半へと円安が進んだことで、トヨタ<7203>が初の1万円台を突破するなど輸送用機器セクターにも買いが波及した。新型コロナウイルスワクチンの接種が企業や学校などで始まり、接種加速による経済正常化への期待感も引き続き相場を支えている。

日経平均はこれまで上値の壁とみられていた7日に付けた戻り高値(29241.20円)を突破したほか、5月の急落前の水準に接近していることから、目先は上値トライが期待できるのではないかとの期待感が高まりつつある。しかし、FOMC後の米国市場で、米金利が再び上昇ピッチを早める展開となれば、米ハイテク関連株の下落を通じて東京市場にも影響が出てくるとの指摘は多い。そのため強弱感が対立しやすいところであるが、まずはFOMCを波乱なく通過し、再び上昇トレンド入りを予測する向きは増えているようだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 心理的な節目である29500円にあと一歩に迫る【クロージング】