9日の日経平均は続落。102.76円安の28860.80円(出来高概算9億9000万株)で取引を終えた。米国では10日に発表される消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの模様眺めムードは強く方向感に欠ける相場展開となった。また、週末のメジャーSQを控えていることから先物市場ではロールオーバー中心の売買となるなか、積極的に仕掛けてくる動きは見られなかった。日経平均は寄り付き後につけた28932.03円が高値、その5分後につけた28801.83円が安値となり、終日このレンジ内での推移が続いた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄が1100を超え、全体の過半数を占めた。セクター別では、空運が3.26%と大きく上昇したほか、不動産、鉱業、医薬品など13業種が値上がり。一方、海運が3.33%と大幅に下落したのをはじめ、パルプ紙、証券・商品先物、機械など19業種が下落、変わらず1業種だった。指数インパクトの大きいところでは、エーザイ<4523>が連日のストップ高で日経平均を約54円支えたほか、ファナック<6954>、テルモ<4543>、ソフトバンクG<9984>が堅調。半面、東エレク<8035>、ダイキン<6367>、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>が軟調だった。

新規の手掛かり材料に乏しいなか、本日も個別材料株に資金がシフト。エーザイのほか、大日住薬<4506>と新規抗うつ・抗不安薬候補化合物を共同で研究開発する日ケミファ<4539>もストップ高まで買われるなど医薬品セクターに買いが波及する動き。また、米国務省が日本への渡航警戒レベルを「渡航中止」から「渡航を再検討」へと1段階引き下げたため、経済活動正常化への期待感から空運株などアフターコロナに関連するセクターや銘柄に値幅取り狙いの資金が向かった。一方、米金利低下を受けて銀行株が値を消すなど金融セクターは敬遠されたほか、強い基調が続いていた海運株は利食い先行から上げ一服に。

日経平均は75日線水準を上値に、25日線水準を下値としたレンジ内の動きが続いており、この水準を突破するには新たなきっかけ材料が必要。一方、米長期金利は低下傾向にあるものの、NY原油先物相場が1バレル=70ドル前後で推移しており、米国のインフレ懸念は拭えていない。このため、米CPIの結果を見極めたいとの思惑が強い。一方、国内で新型コロナワクチン接種が加速化していることから、アフターコロナに関連する物色が見られている点はポジティブと受け止める向きも。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 狭いレンジでのこう着相場のなか、アフターコロナ意識の物色に【クロージング】