6日の日経平均は4営業日ぶりに反落。392.62円安の29696.63円(出来高概算11億3587万株)で取引を終えた。前日までの3営業日で約910円、率にして3%超上昇したほか、前日の米国市場高を先回り的に織り込んでいた側面もあったため、買い先行も寄り付きを高値として主力株中心に利益確定売りが優勢になった。また、時間外取引での米株先物も軟調に推移していることも買い手控え要因につながったとみられる。いったんは下げ渋る場面も見られたものの、3万円を割り込んだことから利食いを急ぐ流れとなり、後場に入っても下げ止まる気配はなく、結局は本日の安値圏で取引を終えている。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄数は1800を超え、全体の8割超を占めた。セクター別では、証券・商品先物の1業種のみの値上がりとなり32業種が下落。鉱業、医薬品、銀行、空運、精密機器、輸送用機器、石油石炭がいずれも2%を超える下落だった。指数インパクトの大きいところでは、信越化<4063>、安川電<6506>、電通グループ<4324>、バンナムHD<7832>がしっかりし、一方でファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、中外薬<4519>が軟調だった。

良好な経済指標を背景に週明けの米国市場は、NYダウが最高値を更新するなど主要な株価指数は上昇。米景気の回復期待を映して日本株にも買いが先行する格好となった。ただ、3月18日の直近高値を抜けなかったほか、連騰に対する高値警戒感も加わり次第に利食い売りが増加していった。個別でも連日上場来高値を更新していた東エレクが8営業日ぶりに反落したほか、ファーストリテも3営業日ぶりに下落するなど指数寄与度の大きい値がさ株中心に値を消す銘柄が目立ち、投資家心理を冷え込ませていた。また、半導体不足による減産の影響が伝えられているスズキ<7269>、SUBARU<7270>などの自動車株や前日に急伸した郵船<9101>や商船三井<9104>といった海運株も下落した。

日経平均は3万円を維持することができなかった。3万円台を定着させるには、新たな支援材料が必要との見方が多い。また、今月下旬からは国内主要企業の2021年3月期決算と22年3月期の業績見通しが公表される。関係者からは、22年3月期の経常利益見通しが本当に前期比3割程度の増益を達成するのか、それともそれを大きく上回る増益予想を開示してくるのか確認したいとの指摘も聞かれた。このため、決算内容を見定めるまでは、外部環境に左右され、バリュー株とグロース株の循環物色が続くことが想定されそうだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 急ピッチの上昇に対する警戒感などから利益確定売りが優勢に【クロージング】