NY外為市場でユーロ買いが一段落した。欧州中央銀行(ECB)の定例理事会のほぼ想定通りとなる決定を受けたユーロのショートカバーにユーロ・ドルは一時1.2080ドルから1.2159ドルまで上昇したが、ECBのユーロ高けん制を背景に1.2115ドルへ反落。ユーロ・円は126円74銭まで上昇後、126円41銭へ反落した。ユーロ・ポンドは0.9103ポンドから0.9142ポンドまで上昇後、0.9117ポンドへ反落。

ECBは定例理事会で市場の予想通り、政策金利を据え置いたほか金利のガイダンスも現行、またはそれ以下で維持するで維持した。同時に、パンデミック資産購入プロブラム(PEPP)の購入枠を5000億ユーロ増額、2022年3月まで9カ月延長したほか、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)プログラムを2022年6月まで延長。銀行への超低金利での長期融資も1年延長を決めた。

ラガルドECB総裁は会合後の会見で、追加緩和決定の背景として、リスクが依然下方に傾斜しているほか、インフレも失望するほど低く、来年初旬までマイナス圏で推移すると悲観的な見方を示した。また、新型ウイルス第2波の影響で、ユーロ圏の経済は第4四半期に2.2%のマイナス成長に落ち込むとし、来年の初旬までその傾向が続く可能性を警告。同時に、ユーロ高を物価圧力の一つに挙げ、今後も監視していく方針を示した。


[金融政策]
・欧州中央銀行(ECB)
・主要政策金利(0.00%)、
・預金ファシリティ金利(中銀預金金利、下限、-0.50%)、
・限界貸出金利(上限、0.25%)、すべて据え置き予想
「パンデミック資産購入プロブラム(PEPP)の購入枠を5000億ユーロ増額、2022年3月まで9カ月延長へ」
「貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)プログラムを2022年6月まで延長。21年に新たな3回のオペ実施へ。利用限度額を引き上げ」
「期限を迎えたPEPPの再投資、少なくとも23年末まで継続へ」
「金利は現行、またはそれ以下で維持」

・ラガルドECB総裁会見ポイント
「PEPPの購入枠、全額は使用されない」
「新型ウイルス第2波の影響で、ユーロ圏の経済は第4四半期にマイナス成長となる可能性が強い」
「不透明性が高く、必要とあれば全手段修正する準備」
「ワクチンなどが行き渡るには時間がかかる、21年末まで」「リスクは依然下方に傾斜」
「為替に目標を持たないが、ユーロ高が物価下方圧力となっており、今後非常に注意深く監視していく」
「インフレは2021年初旬までマイナス圏で推移する可能性が強い」
「長期インフレ期待は低水準で推移」
「回復が遅れるリスクは財政支援を正当化」
「Q4GDPはマイナス2.2%に落ち込み、21年第1四半期まで弱い」
「インフレは失望するほど低い」
「PEPPは必要とあれば拡大も可能」

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情報提供元: FISCO
記事名:「 NY外為:ユーロ伸び悩み、ECB追加緩和実施&ユーロ高けん制