30日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

■株式見通し:22500円近辺では強弱感が対立しやすいところ
■ANA、1Q営業損失 赤字転換1590億円、国内外の旅客需要が大きく減退
■前場の注目材料:三菱ケミHD、欧に炭素繊維リサイクル一貫体制、独2社買収


■22500円近辺では強弱感が対立しやすいところ

30日の日本株市場は、米株高の流れを受けて買い先行で始まりそうである。29日の米国市場ではNYダウが160ドル高だった。連邦準備制度理事会(FRB)が当面金融刺激策を維持するとの期待感から買いが先行。その後、連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通りゼロ金利据え置きを決定し、回復に自信が戻るまで長期にわたり低金利を維持する方針を示したほか、パウエルFRB議長も会見で回復を支援するためにあらゆる手段を活用していく断固とした方針を再表明すると一段高となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比190円高の22530円。円相場は1ドル104円90銭台で推移している。

シカゴ先物にサヤ寄せする格好から買いが先行しよう。ナスダックも反発している流れもあり、昨日弱い値動きが目立っていたハイテク株の値動きが注目されやすいところ。ただし、日経平均は昨日の下げで25日線を割り込んできており、同線が位置する22500円近辺では強弱感が対立しやすいところ。そのため、買い一巡後は押し目買い意欲の強さを見極めつつ、昨日弱さが目立っていたファナック<6954>、信越化<4063>、キヤノン<7751>のほか、買い一巡後に下げに転じていた東エレク<8035>の底堅さを確認したいところである。

ただし、決算発表が本格化している中では積極的な売買は限られそうであり、これまで上昇をけん引していた銘柄等には利益確定の売りが出やすいだろう。特に資金回転のはやい個人主体の中小型株辺りは需給が一方向に傾きやすい面があるため、物色対象が低位材料株や調整が長期化している銘柄等への値幅取り狙いに移行する可能性もありそうだ。また、昨日の東エレクのように決算評価からの買い一巡後は下げに転じるなど、グロースからバリューへのシフトも窺わせてきている。方向感が定まらない中においては、次第に短期的な値幅取り狙いにとどまりやすい。

また、昨日は日銀のETF買い入れが観測されていたものの、それを上回る需給に押された格好だった。本日は反発が見込まれる中でETF買い入れによる需給面での下支えは期待しづらいところであり、先物主導による売り仕掛け的な売買には注視しておく必要がありそうだ。


■ANA、1Q営業損失 赤字転換1590億円、国内外の旅客需要が大きく減退

ANA<9202>が発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比75.7%減の1216.08億円、営業損益は1590.65億円(前年同期は161億円の黒字)の赤字に転じた。新型コロナウイルス感染症の拡大で、世界各国の入国制限措置や国内の外出自粛が続き、国内外の旅客需要が大きく減退したことが響いた。ただし、営業損失はコンセンサス(1710億円程度)を下回っており、織り込み済みとなる。


■前場の注目材料
・NYダウは上昇(26539.57、+160.29)
・ナスダック総合指数は上昇(10542.94、+140.85)
・シカゴ日経225先物は上昇(22530、大阪比+190)
・SOX指数は上昇(2106.30、+45.90)
・VIX指数は低下(24.10、-1.34)
・米原油先物は上昇(41.27、+0.23)
・日銀のETF購入
・米景気刺激策への期待
・コロナ向けワクチン開発の進展


・三菱ケミHD<4188>欧に炭素繊維リサイクル一貫体制、独2社買収
・ソフトバンクG<9984>PCR検査で新会社、自治体・法人へ実費で提供
・SBI<8473>ライブスター証券を買収、手数料競争で優位に
・デンソー<6902>地域情報提供システム事業で異業種連携、API公開、サービス拡充
・キトー<6409>今期20億円投資、本社工場に熱処理新棟
・メック<4971>純銅粉末を高密度造形、汎用出力レーザーで実現
・KDDI<9433>チームズ上で固定電話サービス
・参天製薬<4536>眼瞼下垂の治療薬開発で米社とライセンス契約
・北日本紡績<3409>ヘルスケア始動 まず不織布マスク出荷
・東レ<3402>使い切り型保護服、熱中症対策で需要増
・ソレイジア<4597>ジーンケア研究所との独占交渉権を取得


☆前場のイベントスケジュール

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情報提供元: FISCO
記事名:「 前場に注目すべき3つのポイント~22500円近辺では強弱感が対立しやすいところ