30日の日経平均は大幅に下落。401.65円安の22977.75円(出来高概算13億6000万株)で取引を終えた。終値での23000円を下回るのは、昨年11月1日以来、約3か月ぶりとなる。29日の米国市場は主要企業の決算が好感されたほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)についてもネガティブ視されず小幅に上昇した。一方で、AMDの慎重な見通しなどを背景に、半導体株が軟調推移となり、アドバンテスト<6857>の予想上回る決算内容も利食いに向かわせるなど、ハイテク株の弱さが目立った。

また、新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、世界保健機関(WHO)は2回目となる緊急の委員会を30日に開催すると発表。「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるかどうか、改めて対応を協議すると伝えられる中で、休場明けの台湾市場の下落などもセンチメントを悪化させた。

シカゴ先物にサヤ寄せして始まった日経平均は、その後23300円を回復する局面もみられた。しかし、じりじりと下落幅を広げる展開となり、前引け段階で23000円に接近すると、後場には22892.95円まで下げ幅を広げる展開となった。

東証一部の騰落銘柄は、値下がり数が1800を超えており、全体の8割を占めている。セクターでは、証券が唯一上昇した他は、32業種が下落。電気機器、ガラス土石、機械、精密機器の下落率が2%を超えている。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、アドバンテスト、ファーストリテ<9983>、TDK<6762>、スクリーンHD<7735>が軟調。一方で、ファナック<6954>が底堅い値動きに。

日経平均は、支持線として意識されていた75日線を明確に割り込んできている。テクニカル面では一目均衡表の雲下限や26週線などが位置する22500円のほか、52週線が位置する21970円近辺が次第に意識されてくる可能性がある。

業績内容が良好であったハイテク株へも利益確定の売り圧力が強まるなど、米半導体株や台湾の下落も相俟ってリスク回避姿勢が強まっている。特にこれまで相場のけん引役であったハイテク株の下落によって、パニック的な展開も懸念されやすいだろう。

一方、新型肺炎関連の材料株については、バブル的な値動きをみせている。値がさの中小型株等を損切りし、新型肺炎関連への値幅取りに資金を向かわせる動きも意識されており、全体としてはパニックとバブルが混在した相場展開といったところであろう。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 パニックとバブルが混在した相場展開【クロージング】