8日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。今週開かれる米中貿易協議の進展期待を背景に、リスク選好的な円売りに振れやすい見通し。ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演での慎重姿勢が、ドルの上昇を抑える可能性はあろう。

10日から開催される閣僚級の米中貿易協議に関心が集まっている。トランプ米大統領はそれに先立ち「何か極めて大きなことができる可能性がある」と述べた。部分的な合意にはなお否定的だが、協議の進展期待は高まりつつある。前日の海外市場では、交渉の合意に関する悲観的な報道を受けNY株式市場は軟調となった。ただ、本日のアジア市場では期待先行で日経平均株価は堅調地合いとなり、連休明けの中国市場でも上海総合指数はプラス圏を維持。リスク選好的な円売りが主要通貨を押し上げた。一方、ドル・円は安全通貨であるドル売りの影響で上昇は小幅にとどまった。

この後の海外市場でも、米中協議の進展期待を反映した相場展開となりそうだ。欧米株高や米10年債利回りの上昇を手がかりに、ドル・円は107円半ば以上の水準を目指す可能性があろう。ただ、大幅高は想定しにくい。21時半発表の米国の9月生産者物価指数(PPI)は前回からほぼ横ばいと予想され、今月末の追加利下げ観測を弱める材料にはなりにくい。また、その後に予定されるパウエルFRB議長の講演では、引き続き慎重な見解が見込まれる。米中協議への期待感は高まるものの、実際には不透明な部分が多いためハト派的な政策スタンスは変わらずドルの押し上げ効果は限定的となろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・21:30 米・9月生産者物価指数(前月比予想:+0.1%、8月:+0.1%)
・02:00 米財務省3年債入札(380億ドル)
・02:35 エバンス米シカゴ連銀総裁講演(ロータリークラブ昼食会)
・03:30 パウエル米FRB議長講演(全米企業エコノミスト協会年次総会)
・06:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁がタウンホール会合出席





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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、米FRB議長の慎重姿勢を材料視