28日の欧米外為市場では、ドル・円は底堅い値動きを予想する。中国政府が前日発表した消費拡大策への期待感で、リスク回避の円買いは縮小の見通し。ただ、米中貿易戦争に対する過度の懸念は弱まったが、再燃の警戒で積極的なドル買いは手控えられそうだ。

前日の欧米市場で、中国政府が発表した消費拡大策への期待感が広がっている。対米貿易関係の悪化で低迷が続く自動車産業のテコ入れを柱に、20項目の刺激策を打ち出した。それを受け、同国をはじめ世界の経済の減速を見込んだ円買いは後退。本日のアジア市場で中国株は前日終値付近で不安定な値動きが続いたものの、日本株は上昇基調を維持しリスク回避的な円買いは縮小した。また、欧米株式先物のプラス圏推移や米10年債利回りの持ち直しを受け、ドル・円は105円後半で底堅い値動きとなった。この後の海外市場も、円売りを背景にドル・円はやや上昇方向に振れそうだ。

今晩は重要イベントが予定されていないが、バーキン米リッチモンド連銀総裁による講演が手がかりとなる可能性はあろう。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)による9月利下げは織り込まれつつあり、同総裁が想定外にタカ派寄りの見解を示さない限りドル買いは入りづらい見通し。一方、目下のテーマである米中貿易摩擦も、引き続き注視される。トランプ米大統領は前週末に中国側から通商協議再開を求める電話があったと説明したのに対し、中国側は把握していないと否定している。両国の対立はいったん収束したものの再び激化する可能性から、ドル買いは慎重にならざるを得ない。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 ユーロ圏・7月マネーサプライ(前年比予想:+4.7%、6月:+4.5%)
・01:20 バーキン米リッチモンド連銀総裁講演(バージニア商工会議所)
・02:00 米財務省5年債入札(410億ドル)
・06:30 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が討論会参加(インフレ目標)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、米中貿易戦争の再燃への警戒で買い後退