みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。最近の商品先物市場での注目ポイントは、やはり金相場の上昇です。東京商品取引所(TOCOM)の金先物市場では2018年8月に4,112円まで落ち込んでいたのですが、6月25日には4,932円とおよそ2割上昇しています。そして節目の5,000円を目指す勢いです。こういった上昇トレンドを後押ししている要因について考えてまいりましょう。

■金利が下がると金価格は上がりやすい
価格上昇要因の説明に入る前に踏まえておきたいのは、米国の金利が上がると金価格は下がりやすいと見られていることです。なぜなら、金利が上がると米ドルの魅力も上がり、金の魅力は相対的に落ちてしまうからです。金はドルと違って保有していても金利がつかないですよね。この逆で、金利が下がると金価格は上がりやすいといわれています。

■FRBの金融政策の変更
金価格が足元で上昇している大きな要因の1つは、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策の変更です。6月19日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)においてFRBは金融政策の現状維持を決め、政策金利を据え置きました。ただ、声明文には「先行きの不確実性が増しており、 成長持続へ適切な行動をとる」と明記しています。つまり景気減速リスクが強まれば年内に利下げに転じるかもしれないということです。さらにFOMC参加者17人のうち半数近い8人が2019年中の利下げを予測しています。この利下げ見通しの高まりが、金価格の上昇トレンドを後押ししているとみられます。

■有事の金としての買い
金は安全資産としてみられているので、有事に買われやすいという特徴があります。このため地政学的リスクが高まると買われやすいのです。足元の具体的な地政学的リスクとして、ホルムズ海峡をめぐって軍事的な緊張が強くなっています。ホルムズ海峡に近いオマーン海峡で6月13日、石油タンカー2隻が攻撃を受けたと報道されました。ポンペオ米国務長官は攻撃の背後にイランがいるとの見解を表明しました。もしイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、原油や天然ガスの価格は高騰すると想定できます。世界経済は大混乱に陥り、「有事の金」が注目される局面のシナリオの1つとして想定しておく必要があります。こういった見通しも金価格を押し上げる1つの要因になっていると考えられます。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




<HT>

情報提供元: FISCO
記事名:「 金価格の上昇を後押しする要因とは~もっと知りたい商品先物取引