25日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想したい。米トランプ政権のイランに対する追加経済制裁発表で地政学リスクの円買いが先行する見通し。また、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者からハト派姿勢が示されれば、一段のドル売りが見込まれる。

トランプ米大統領は24日、ツイッターで予告していた通り対イラン制裁を正式に決めた。最高指導者ハメネイ師を対象に米国の金融システムを通じた取引を禁じており、米国政府はイラン革命防衛隊幹部も対象に加える。宗教指導者への制裁といった内容を受け、米国とイランの緊張はさらに高まる見通し。また、前日発表された米国の経済指標のうち、ダラス連銀製造業活動指数は予想外に弱い内容でFRBのハト派姿勢を裏付け、目先の利下げを意識したドル売りも強まった。本日のアジア市場ではその流れを受け継ぎ、午後には心理的節目の107円を割り込んだ。

この後の欧米市場でも、米国のイラン制裁を嫌気した円買いと利下げ観測を背景としたドル売りに振れやすい展開となりそうだ。ドル売り基調が強まることでクロス円がしっかりした値動きとなり、ドル・円は押し目買いなどでやや値を戻す場面もあるだろう。ただ、今晩発表の米消費者信頼感指数は前回から低下が予想され、前日同様、経済指標の悪化を手がかりに景気減速懸念が広がる見通し。また、パウエル米FRB議長やバーキン米リッチモンド連銀総裁などFRB当局者による発言機会があり、年内複数回の利下げに思惑が広がればドル売りが継続しドル・円の戻りは限定的となろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・21:45 ウィリアムズNY連銀総裁開会あいさつ(金融フォーラム)
・22:00 米・4月FHFA住宅価格指数(前月比予想:+0.2%、3月:+0.1%)
・22:00 米・4月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数(前年比予想:+2.50%、3月:+2.68%)
・23:00 米・5月新築住宅販売件数(予想:68.4万戸、4月:67.3万戸)
・23:00 米・6月消費者信頼感指数(予想:131.0、5月:134.1)
・23:00 米・6月リッチモンド連銀製造業指数(予想:2、5月:5)
・01:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁が討論会参加(住宅関連)
・02:00 パウエル米FRB議長講演(経済見通しと金融政策)
・02:00 米財務省2年債入札(400億ドル)
・04:30 バーキン米リッチモンド連銀総裁が討論会参加(オタワ大学)
・07:30 ブラード米セントルイス連銀総裁開会あいさつ(同連銀主催会合)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、地政学リスクと米利下げ観測で