10日の日経平均は下落。57.21円安の21344.92円(出来高概算17億4000万株)で取引を終えた。対中関税引き上げを控える中、習近平国家主席がトランプ大統領に書簡を送ったことが明らかとなり、朝方は米中関係悪化を手掛かりとしていた売り方の買い戻しが先行する格好となった。小幅に反発して始まった日経平均は、その後21584.09円まで切り返す局面もみられた。

しかし、関税引き上げが発動されるとの見方が強まる中、ランチタイム中に先物主導で下落し、午後1時1分に関税引き上げが発動されると、日経平均は21175.33円まで下げ幅を拡大させる局面をみせている。その後は大引けにかけて下げ幅を縮めているが、積極的な売買は手控えられており、米中関係悪化を手掛かりとした短期的な需給要因に振らされる格好となった。

東証1部の騰落銘柄では値上がり、値下がり数が概ね拮抗。セクターでは、非鉄金属、精密機器、食料品、情報通信、海運、その他金融が冴えない半面、石油石炭、医薬品、電気ガス、機械、建設がしっかり。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG<9984>、テルモ<4543>が重石をなる一方で、ファーストリテ<9983>、ダイキン<6367>が下支えに。

米中閣僚級協議については、両国がぎりぎりのところで合意する可能性は低いとの見方がコンセンサスであり、対中関税引き上げの確率は80%との見方もされていたことから、関税引き上げ発動については織り込み済みであろう。今後は協議継続の姿勢の動きがみられてくるようだと、次第に落ち着きをみせてくることが期待される。一方で、実質決裂となった場合には波乱警戒といったところであろう。可能性としては協議継続によるややアク抜けが意識されやすい。

また、来週半ばで決算発表が一巡する。とはいえ、引き続き米中貿易摩擦の行方を睨みながらの不安定な相場展開が続くことになりそうであり、決算を受けた見直しの流れは期待しづらいところではある。なお、来週の決算ではメガバンクなど銀行の決算のほか、そーせい等バイオ株の決算が予定されている。外部環境を警戒した短期的な値幅取り狙いの売買としては、バイオ株に資金が向かいやすいと考えられる。



<AK>

情報提供元: FISCO
記事名:「 米中協議継続なら次第に落ち着きも【クロージング】