7日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。米トランプ政権が対中制裁関税を実施する意向を示しており、両国の交渉決裂への懸念で円買いに振れやすい見通し。合意期待はなお根強いが、警戒は続きドルの買い戻しを抑制しそうだ。

米トランプ政権は前週末、中国からの輸入製品について制裁関税に踏み切る方針を示した。ムニューシン財務長官は6日、中国が前週末に示した新たな合意草案について交渉済みの分野の再協議を求めるなど内容が大きく変わる可能性があったとし、合意に悲観的な見方を示している。米中両国の代表団は9-10日に協議を行う予定だが、米国側は内容によっては日本時間10日午後に税率を引き上げる。そうした事態を受け、この問題に対する従来の楽観的な見方は大きく後退。10連休明けの東京市場では日本株安を背景に円買いが強まり、一時110円半ばまで値を下げた。

この後の海外市場では、引き続き米中貿易交渉の行方を見極める展開となろう。ある市場筋は「9-10日の協議の結果が今後のドルの方向感を決定づける」との見方を示す。前日のアジア市場でドル・円は110円20銭台まで軟化したものの、根強い合意期待から持ち直す場面もあった。今晩は18時の欧州委員会経済見通しで、域内経済の悲観的な見方が弱まれば円買いを抑制する手がかりになりやすい。また、23時発表の米3月JOLT求人件数で雇用情勢の改善が示されればドル買い・円売りに振れる可能性もあろう。ただ、米中協議に焦点が集まるなか、警戒が続く見通しでドル・円の戻りを抑えるだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:00 欧州委員会経済見通し
・23:00 米・3月JOLT求人件数(予想:735万件、2月:708.7万件)
・02:00 米財務省3年債入札(380億ドル)
・04:00 米・3月消費者信用残高(予想:+160億ドル、2月:+151.88億ドル)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米中貿易の交渉決裂に警戒続く