14日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想したい。欧州通貨売りや米中通商協議の進展期待から、引き続きドルは上昇方向に振れやすい見通し。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ休止観測は変わらず、ドルの上値を抑えそうだ。

ドル・円は、前日の海外市場終盤に昨年12月28日以来1カ月半ぶりに111円台を回復した。前日発表されたユーロ圏の12月鉱工業生産が2カ月連続で落ち込み、域内の景気減速懸念でユーロ売り優勢となったことが背景。また、英国政府による欧州連合(EU)離脱修正案の議会採決を14日に控え悲観的なムードが広がり、ポンド売りが強まった。こうした欧州通貨売りの地合いが広がるなか、米国の1月消費者物価指数(CPI)の前年比予想上振れで、いったんドル買いに振れやすい展開に。本日のアジア市場でもその流れを受け継ぎ、
ドル・円は111円前半に水準を切り上げた。

今晩も前日同様の展開が見込まれる。本日発表のユーロ圏の10-12月期域内総生産(改定値)が下方修正された場合には、ユーロ・ドルの一段安に振れやすい。スペインの政局リスクも不安材料。なお、英国議会における修正案の審議採決については、メイ首相がEUとの修正協議期限を先延ばしする意向を示したことで、協議継続への是非を問うものになるもよう。一方、米国の12月小売売上高は伸び鈍化が予想され、消費の落ち込みが意識されれば景気減速観測が再び広がろう。FEDウォッチによると、前日のCPIで3月利上げ観測は小幅に増加したものの、ほとんどの市場参加者は今年の利上げを想定しておらず、ドルに積極的な買いは入りにくいとみる。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・19:00 ユーロ圏・10-12月期GDP改定値(前年比予想:+1.2%、速報値:+1.2%)
・22:30 米・12月小売売上高(前月比予想:+0.1%、11月:+0.2%)
・22:30 米・1月生産者物価指数(前月比予想:+0.1%、12月:-0.1%←-0.2%)
・22:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:22.5万件、前回:23.4万件)
・24:00 米・11月企業在庫(前月比予想:+0.2%、10月:+0.6%)
・01:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が討論会参加
・英議会で離脱案修正の審議採決(EUとの協議継続への是非を問うものに変更へ)





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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、米利上げ休止観測が重しに