13日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想したい。欧州中央銀行(ECB)理事会ではハト派的な姿勢が見込まれ、ドルに買いが入りやすい見通し。ただ、貿易摩擦への懸念は払しょくされておらず、111円台後半の断続的なドル売りがドル・円の上昇を抑えそうだ。

今晩はECB理事会と英中銀金融政策委員会(MPC)の政策決定が注目される。いずれも政策金利は据え置きの公算。ECBは、欧州連合(EU)と米国の貿易摩擦やトルコリラ急落に伴う欧州金融機関の資産劣化などを背景に、今後の成長見通しを下方修正する可能性から、ユーロ買いは後退しそうだ。また、英中銀は全般的にタカ派姿勢を崩さないものの、次の利上げについては不透明でポンド買いも入りづらく、ドル選好地合いとなりそうだ。

一方、トルコ中銀の定例会合では利上げ実施が予想される(日本時間午後8時発表予定)。市場では、政策金利である1週間物レポ金利の17.75%から21.00%への引き上げを見込む。ただ、高止まりしている消費者物価指数(CPI)から利上げ幅は不十分との見方が広がれば、リラ売りが再開しそうだ。その際には、ユーロ売りが再燃し、クロス円を押し下げるだろう。

それらを手がかりに、引き続きドルと円に警戒の買いが入りやすい見通し。ドル・円に関しては方向感は乏しいが、米10年債利回りが節目の3%を回復するか注目され、長期金利の上昇を手がかりにドル買いに振れる可能性がある。また、米中の通商協議再開による貿易摩擦回避への思惑は、円売りを誘発。ただ、通商問題を払しょくするには至っておらず、ドル・円は111円台後半に観測される断続的なドル売りが上値を抑えるだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・20:00 英中銀が金融政策発表(政策金利は0.75%に据え置き予想)
・20:00 英中銀金融政策委員会の議事要旨
・20:45 欧州中央銀行(ECB)が金融政策発表(主要政策金利は0.00%に据え置き予想)
・21:30 ドラギECB総裁会見
・21:30 米・8月消費者物価指数(前年比予想:+2.8%、7月:+2.9%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:21.0万件、前回:20.3万件)
・02:00 米財務省30年債入札(150億ドル)
・02:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(経済見通しと金融政策)
・03:00 米・8月財政収支(予想:-1850億ドル、17年8月:-1076.89億ドル)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、111円台後半では断続的なドル売り