7日のドル・円相場は、東京市場では110円38銭から110円77銭まで反発。欧米市場でドルは110円68銭から111円25銭まで買われた後に110円74銭まで反落したが、111円06銭で取引を終えた。

本日10日のドル・円は、111円を挟んだ水準で推移か。8月米雇用統計は良好な内容だったが、日米貿易論争への懸念が浮上しており、リスク選好的なドル買いはやや抑制される可能性がある。

トランプ米大統領は先週7日、日本との貿易協議について「新たな合意に達しなければ日本は大変な問題になると認識している」との見方を記者団に伝えており、市場関係者の間では「今月下旬に行われるとみられる日米貿易協議(FFR)は、日本の対米貿易黒字削減を促すための議論になる」との見方が広がっている。

トランプ米大統領は為替相場がドル高・円安の方向に動くことを容認しないとの思惑も浮上しており、日米貿易協議を巡る思惑で為替相場がドル安・円高方向に振れる可能性がある。トランプ米大統領が新たに2670億ドル相当の中国製品に対する追加関税の用意があることを明らかにしたこともドル・円の取引ではドル売り材料になるとの声が聞かれている。

ただ、7日発表された8月米雇用統計で、平均時給の伸びが前年比+2.9%と市場予想(同比+2.7%)を上回ったことはドル・円相場に対する支援材料になりそうだ。今後は平均時給が相対的に高い業種(鉱業、建設、情報、金融)における雇用拡大も期待されていることから、平均時給の上昇率は年末にかけて前年比+3%に到達する可能性が出てきた。米国金利の先高観は後退していないことから、日米貿易協議の行方などを警戒してリスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 今日の為替市場ポイント:日米貿易論争への懸念浮上でリスク選好的なドル買い抑制も