21日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想したい。トルコリラに対する過度の懸念後退や米中通商協議に対する期待感から、ドル・円は持ち直す見通し。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続へのトランプ大統領の批判が重石となりそうだ。

前週末にトルコが格下げされたほか、トルコのアメリカ大使館に銃弾が撃ち込まれるどネガティブな材料のわりに、トルコリラの進行は回避されている。足元は米長期金利の
低下を受けた全般的なドル安傾向もあり、値を戻す展開。また、それらを受けてユーロ・ドルは節目の1.15ドル台に持ち直した。ドル・円は前日のNY市場での下落基調を受け継ぎ、本日のアジア市場では一時109円78銭まで売られた後、中国株の続伸などを受けてやや値を戻した。

今晩の海外市場も材料難のなか、明日からの米中通商協議における両国の関係改善への期待感やトルコリラの底堅い値動きを背景に、ドル・円はアジア市場同様、値を戻す展開となりそうだ。ただ、トランプ米大統領が前日、メディアとのインタビューでFRBの利上げ継続方針について、1カ月前に続き批判的な見解を示した。パウエル議長は今週末のジャクソンホール会議での講演で、堅調な米経済を背景に利上げ継続の姿勢を打ち出す見通しだが、大統領の2度にわたるストレートな利上げ批判は市場参加者の警戒を招きやすい。目先のドル回復シナリオに影響を与える可能性もあり、海外市場でどこまで戻せるのか注目される。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・7月公的部門純借入額(銀行部門除く)(予想:-11億ポンド、6月:+54億ポンド)
・トルコ休場(犠牲祭、24日まで)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は戻り鈍い、米大統領の利上げ批判が重石に