20日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

■株式見通し:IPO銘柄や決算を手掛かりとした個別物色に
■決算チェック:王子HD、1Q営業益2倍、250億円強との観測
■前場の注目材料:旭化成、車向け樹脂コンパウンド、タイ10%増産


■IPO銘柄や決算を手掛かりとした個別物色に

23日の日本株市場は下値不安の強い相場展開になりそうだ。20日の米国市場はNYダウ、ナスダックともに小動きだったが、シカゴ日経225先物清算値は大阪比195円安の22525円、円相場は1ドル111円40銭台と円高に振れており、これにサヤ寄せする格好からインデックスに絡んだ売りが先行することになりそうだ。トランプ大統領は20日放映の米CNBCの番組で、中国に対する制裁関税の対象を5000億ドル(約56兆円)に拡大する可能性を示唆したと報じられている。2017年の中国からの輸入実績とほぼ同じ規模であり、すべての輸入品に関税を課すことになる。改めて米中貿易摩擦への警戒感が高まることになりそうだ。

また、今週は25日に開催される米EU首脳会談での自動車・自動車部品に対する関税導入に関する交渉が最大の注目点。既にEUやカナダからは米国に対する報復措置が提案されており、仮に交渉が決裂した場合、貿易摩擦を巡る先行き懸念が急速に高まるだろう。その他、米国市場では決算発表がピークを迎えるほか、国内でも決算発表が本格化してくるため、決算内容を見極めたいとする模様眺めムードも強まりやすい。

日経平均はシカゴ先物にサヤ寄せする格好から22500円台での攻防になりそうだが、テクニカル面では一目均衡表の雲上限が22615円処に位置しているため、これを割り込んでくる可能性がある。シグナル悪化から短期筋の売り仕掛け的な動きも強まりやすいところでもある。一方で遅行スパンは6月下旬の位置に接近してくるため、日経平均が底堅さをみせてくるようだと、実線を下から上に突き抜ける、上方シグナルを発生させてくる可能性もある。そのため、強弱感が対立しやすく、方向感を掴みづらくさせそうだ。

また、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の動向が注目されたが、22日採択した声明で「世界経済の下振れリスクは増大した」と指摘した。積極的な売買が手控えられるなか、IPO銘柄など需給不安の少ない銘柄や決算を手掛かりとした個別物色での短期的な値幅取り狙いが中心になりそうだ。


■王子HD、1Q営業益2倍、250億円強との観測

王子HD<3861>の1Q(4-6月)業績は、営業利益が前年同期比2倍の250億円強になったようだとの観測が伝えられている。製紙原料のパルプの国際価格が高水準で推移しているほか、国内では段ボール原紙の値上げ効果が出たようだ。市場コンセンサス(240億円強)を上回っている。株価は直近のボトム水準に位置しており、押し目拾いの材料になりそうだ。


■前場の注目材料

・米原油先物は上昇(70.46、+1.00)
・VIX指数は下落(12.86、-0.01)
・日銀が大規模緩和継続
・4−6月期好業績への期待

・旭化成<3407>、車向け樹脂コンパウンド、タイ10%増産
・トヨタ<7203>、東富士工場閉鎖、東北に生産車種移管


☆前場のイベントスケジュール

<国内>
・特になし

<海外>
・11:30 菅義偉官房長官が「共同通信きさらぎ会」で講演



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情報提供元: FISCO
記事名:「 前場に注目すべき3つのポイント~IPO銘柄や決算を手掛かりとした個別物色に