以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家「投資家気分」氏(ブログ「世界で一番孤独なInvestor」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年6月25日11時に執筆

◆企業のグローバル化

日本企業といえど、国内ですべてを完結している企業は昨今少ないと思います。

世界各国と繋がるためには、言語やルールなど共通の仕組みを作る必要がありますね。
今回は、株式投資において重要な決算ルールの知識、『IFRS』について触れたいと思います。


国際財務報告書=IFRS

国を問わず正確な業績評価を行うために共通の会計基準が必要となります。
その中で生まれたのが国際会計基準審議会の定めた世界共通の会計ルール、IFRSです。

グローバル企業の多くに採用されているIFRSですが、日本でも採用している企業が増えつつあります。日本株の売買シェアの6割以上は外国人投資家ですので、世界で活躍する企業はIFRSの導入に積極的と言えるでしょう。

さて、投資対象の銘柄がIFRS採用企業ということもありますので、私たち個人投資家においてもIFRSについて少しだけ知る必要があるかもしれません。

ただし、投資のために決算書を読む上で、事細かく会計知識を学ぶ必要はないと考えます。
なので、今回も大枠だけ簡単にまとめます。


◆便利な『包括利益』

IFRS導入において重要な変更点である『包括利益』とは何でしょうか?

これは、簡単にいうと、会社が持っている株や債券などの値上がりや値下がり、為替による損益まで加味した利益のことです。日本基準ではリアルな価値評価は売却時まで不明確でしたが、IFRSであれば公開されるので投資する上でも非常に参考になります。


◆経常利益や特別損益の項目がない

日本の決算書のようにIFRSには経常利益や特別損益の項目がありません。

また、売上についても変更点があります。それは、売上を計上するタイミングが「取引の発生時点」ではなく、「取引先が商品やサービスを点検し終えた時点」になっている点です。計上するタイミングが遅れ、経営側からすると不利になると思えますが、よりクリアな決算書になり信頼を集められるとされています。

経常利益や特別損益で経営状況を誤魔化す企業も存在しますので、IFRS採用により曖昧なところが減り、投資家にはありがたいかもしれませんね。私は決算書を見るときに、日本会計であっても営業利益と当期純利益をメインに見るので、IFRSはなおさら見やすいです。


◆項目や算出が異なるその他

見慣れている決算書とは項目が微妙に異なり、読みにくく感じるかもしれません。しかし、内容はそこまで大きく変わらないと思います。

■収益

売上ではなく収益がPLの一番上にあることも。売上は「顧客に請求した総額」であるのに対して、収益は「会社が実際に受け取る金額」を表します。下請け会社のために顧客から回収したお金を含みません。


■その他営業収益・費用

経常利益や特別利益という概念がないので、それらの項目がここに組み込まれ営業利益に影響を与えます。


■営業利益

上記のその他営業収益・費用の影響もあるので、日本基準と算出方法が異なります。

「売上総利益-販管費及び一般管理費-減損損失+その他の営業収益-その他の営業費用」で表されます。


■持分法による投資損益

持分法適用会社(出資比率が20%以上50%未満の非連結子会社・関連会社)から上がる損益。


■金融収支・費用

受取利息や為替差益が収益で、支払利息や為替差損が費用です。これは日本基準だと経常利益の項目でしたが、ここは例外でIFRSの営業利益から外れます。



以上です。

そこまで複雑なものではありませんし、私たち投資家の目線からも企業の実態が見えやすくて良いですね。ソフトバンク、電通や花王など実際のIFRS採用企業の決算書を片手に見直してみると理解が早いかもしれません。ご覧頂きありがとうございました。

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執筆者名:投資家気分
ブログ名:世界で一番孤独なInvestor





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情報提供元: FISCO
記事名:「 投資家気分: 採用企業が増えているIFRSをご存知でしょうか?【FISCOソーシャルレポーター】