6日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。節目の110円をしっかり上抜けるための手がかり材料が乏しいなか、米長期金利や株価動向にらみの取引となる見通しだが、週末に開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では保護主義を鮮明にしている米国と他国との溝は埋まらない公算であり、円先高観が上値を抑えそうだ。

5日発表の米国の5月ISM非製造業総合景況指数や4月JOLT求人件数はいずれも堅調な内容となり、景気拡大基調の維持を背景に利上げペース加速観測は継続。ドル・円を下支えする状態が続く。前日の取引では、110円はアジア市場でのわずか数秒のワンタッチにとどまり、NY市場ではいったん109円47銭まで押し下げられた。本日のアジア市場でも前日と同様に110円を目指す展開になったが、ここに来て110円を上抜け始めている。

今晩の海外市場では材料難のなか、米長期金利や株価動向をにらみながらの取引になりそうだが、長期金利については、強い5月雇用統計発表以降の上昇が限定的であり、一段の上昇は想定しにくい。また、米株価も前日あたりからやや調整気味になる兆しがみられ、一段のドル買い・円売りは進めづらいかもしれない。一方、7-8日にカナダで開催されるG7サミットでは、米トランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の輸入制限が主要テーマとなり、参加各国から反発が強まる見通し。トランプ大統領は保護主義的な通商政策を推進する意向を改めて示すとみられ、貿易戦争への懸念から円先高観が強まり、ドル・円の上値を抑えそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-2.9%)
・21:30 米・4月貿易収支(予想:-490億ドル、3月:-490億ドル)
・21:30 米・1-3月期労働生産性指数改定値(前期比年率予想:+0.6%、速報値:+0.7%)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、G7サミットに向け円買いに警戒