1日の日経平均は反落。30.47円安の22171.35円(出来高概算16億株)で取引を終えた。5月31日の米国市場では、トランプ政権がEU(欧州連合)やカナダ、メキシコ製の鉄鋼及びアルミニウムの輸入関税発動を発表し、各国が報復措置を表明するなど貿易戦争への懸念が強まり、終日軟調推移だった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比90円安の22100円となり、これにさや寄せする格好から売りが先行した。ただし、円相場がやや円安に振れて推移するなか、輸出関連などへは買い戻しとみられる動きが出ており、前場半ばには22300円を回復する場面もみられた。ただ、オーバーウィークのポジションは取りづらく、積極的な売買は限られるなか、大引けにかけてはインデックス売りから小幅ながら下げに転じた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり数が1100を超えており、全体の過半数を占めている。セクターでは輸送用機器、石油石炭、鉱業、建設、パルプ紙、銀行がしっかり。半面、その他製品、電力ガス、化学、食料品、その他金融、機械が小安い。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、花王<4452>、テルモ<4543>、ファナック<6954>、武田<4502>が重石となった。

日経平均は下降する5日線や一目均衡表の転換線、基準線が重石となり、遅行スパンは下方シグナル発生が意識されやすく、テクニカル面では不安定な相場展開が続きやすい。また、米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の発動を決めたのを受け、EUとカナダ、メキシコが一斉に対抗措置に動き出すなど、各国の報復の応酬が「貿易戦争」に発展する懸念が強まっている。これが相場の重石となることから、積極的な上値追いのスタンスは取りづらいところであろう。

一方で、6月12日開催で調整中の米朝首脳会談の実施に向け協議が進んでおり、市場はリスクオンに向かいやすく、インデックス売買が日経平均を押し上げてくる可能性がある。そのため、米朝首脳会談が予定されている12日に向けては、主力大型株先行の地合いになりやすいだろう。(村瀬智一)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 テクニカル慎重もリスクオンに向かうか【クロージング】