18日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想したい。来週の米国債入札を控え、米長期金利の上昇傾向が続くとみられ、目先は111円前後での取引が見込まれる。ただ、週末などの要因から持ち高調整のドル売りも出やすく、伸び悩みとなる可能性がある。

前日は、米長期金利が一段と上昇し、10年債利回りは2011年以来7年ぶりに3.12%台に水準を切り上げた。昨晩発表の米国の5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は予想を大きく上振れ、景気拡大基調を受けた連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速観測が高まった。それによりドル・円はドル買いとなり、111円を目指す展開となった。また、イタリアのポピュリスト政党などによる連立交渉が続くなか、ユーロ離脱観測なども浮上しており、ユーロは引き続き買いが入りづらく、ドル選好地合いが続いた。ドル・円は111円付近で攻防がみられるものの、この後の海外市場でも引き続き米長期金利の上昇を背景に買われやすい見通し。

ただ、ドル・円の目先の上昇は小幅にとどまりそうだ。今晩は、FRB内で最もハト派寄りとされるブレイナード理事が22時15分から講演を行う(テーマは地域再投資法関連)。前日にはカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が「3.9%の失業率が示す以上に労働市場にスラックが存在する可能性がある」と述べ、追加利上げに慎重な姿勢をみせた。それに続き、ブレイナード理事からもハト派的な見解が示されれば、ドル買いは後退。週末でもあり、持ち高調整によるドル売りを誘発する可能性がある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 ユーロ圏・3月経常収支(2月:+227億ユーロ)
・18:00 ユーロ圏・3月貿易収支(2月:+189億ユーロ)
・21:30 カナダ・3月小売売上高(前月比予想:+0.3%、2月:+0.4%)
・21:30 カナダ・4月消費者物価指数(前年比予想:+2.3%、3月:+2.3%)
・22:15 カプラン米ダラス連銀総裁質疑応答(テキサス大学)
・22:15 ブレイナード米FRB理事講演(地域再投資法関連)
・米中通商協議(最終日)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、週末を控え調整売りも