5日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は大幅続伸、先物主導で強含みも物色対象は広がりづらく
・ドル・円は伸び悩み、107円手前で売り買い交錯
・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はテルモ<4543>


■日経平均は大幅続伸、先物主導で強含みも物色対象は広がりづらく

日経平均は大幅に続伸。348.28円高の21667.83円(出来高概算7億2000万株)で前場の取引を終えた。4日の米国市場では、米中貿易摩擦への警戒からNYダウは一時500ドル安となったが、その後は引けに掛けて切り返すといった引け味の良さの流れを受け、買い先行の展開から21500円を回復して始まった。その後はこう着感の強まる展開から、前場半ばには21462.10円まで上げ幅を縮める場面もみられた。しかし、円相場が1ドル107円台に迫る円安傾向の中、前引けにかけて上げ幅を拡大させている。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり数が1400を超えており、全体の6割を占めている。セクターでは精密機器、医薬品、不動産、パルプ紙、陸運、食料品が堅調。半面、鉄鋼、非鉄金属、海運、水産農林が小安い。指数インパクトの大きいところでは、前日に続いてファーストリテ<9983>が大幅に上昇しているほか、テルモ<4543>、ファナック<6954>、京セラ<6971>、東エレク<8035>などハイテク株が日経平均をけん引している。

日経平均は25日線を突破して始まり、その後はこう着感が強まっていたが、前引けにかけては同線から上放れる動きをみせつつある。ファーストリテ<9983>が一段高となっており、日経平均を押し上げている面が大きい。ただし、ハイテク株が堅調ではあるが、ファナック<6954>、東エレク<8035>などの戻りは鈍い。戻り待ちの売りに押されてくるようだと、再び日経平均は25日線での攻防を余儀なくされる可能性がある。グローベックスのNYダウ先物は100ドル高程度で推移しており、安心感が高まりやすいが、一方で中国は祝日で休場になるため米中貿易摩擦の影響は見極めづらいところである。

そのため物色対象は広がりづらく、先物主導によるインデックス売買による値嵩株の動向次第といったところであろう。インデックス中心であるため、中小型株などは選別色が強まり、値動きの強い銘柄に短期資金が集中する流れが続こう。日経平均は強含みとなるものの、手掛けづらさがうかがえる相場展開である。


(株式部長・アナリスト 村瀬智一)

■ドル・円は伸び悩み、107円手前で売り買い交錯

5日午前の東京市場で、ドル・円は伸び悩み。日本株高を背景にリスク選好の円売りが先行したが、ドルは節目の107円付近で利益確定売りに上値が押さえられた。

日経平均株価が寄り付きから上げ幅を拡大し、リスク選好的な円売りが先行しドルを押し上げる展開となった。また、今晩の米株続伸への期待でドル買いも観測。ただ、節目の107円手前で利益確定売りに押され、ドルの107円回復は阻止された。

ランチタイムの日経平均先物は大幅高で推移し、日本株高継続を見込んだ円売りの流れが続き、目先は107円回復が見込まれる。一方、米10年債利回りが2.81%付近で伸び悩んでおり、ドルは節目を上抜けても上値の重い値動きとなる可能性があろう。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は106円73銭から106円99銭、ユーロ・円は131円07銭から131円38銭、ユーロ・ドルは1.2275ドルから1.2289ドルで推移した。


(為替・債券アナリスト 吉池威)


■後場のチェック銘柄

・ヴィンクス<3784>と山陽百貨店<8257>などの3銘柄がストップ高
※一時ストップ高・安(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はテルモ<4543>


■経済指標・要人発言

・クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
「貿易の緊張、トランプ大統領ではなく中国を非難すべき」
「株式相場の不安は理解する」
「株式相場は貿易協議の緊張で過剰に反応すべきではない」
「関税は好きではないが、トランプ大統領は正しい」
「数か月、関税に関する断固とした対応なし」
「中国に関し、トランプ大統領は世界をけん引」

☆後場の注目スケジュール☆

<国内>
特になし

<海外>
・15:00 独・2月製造業受注(前月比予想:+1.5%、1月:-3.9%)
・16:15 スイス・3月消費者物価指数(前年比予想:+0.7%、2月:+0.6%)




<DM>

情報提供元: FISCO
記事名:「 後場に注目すべき3つのポイント~先物主導で強含みも物色対象は広がりづらく