14日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想する。米トランプ政権内で重要閣僚の交代が続き、政策運営への不安からドル売り先行の見通し。ただ、米経済指標は底堅い内容が見込まれており、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)を控えドル売りは限定的になりそうだ。

トランプ米大統領は13日、ティラーソン国務長官を解任し、後任にポンペイオ中央情報局(CIA)長官を起用する考えを示した。前週に経済政策運営の要である国家経済会議(NEC)のコーン委員長が辞任を表明したばかりで、政権内の重要閣僚の相次ぐ退任を受けトランプ政権の外交や経済の政策運営に不透明感が広がっている。特に、ポンペイオ氏は保守強硬派とみられ、米朝首脳会談の調整への影響が懸念される。

ティラーソン氏の解任を受け、金融市場も反応をみせている。本日の東京株式市場では前日の米株安の影響に加え、米朝の歩み寄りへの期待後退も株売り要因とみられる。ドル・円はそれを受け、上昇一服後はやや円高方向に振れた。一方、ペンシルベニア州の下院補欠選挙では、民主党候補が勝利宣言。鉄鋼・アルミ製品の輸入制限による「成果」はなく、トランプ大統領の求心力低下を嫌気したドル売りも見込まれる。

ただ、本日21時半に発表される米国の2月小売売上高と同生産者物価指数(PPI)が予想の範囲内なら、ドル・円の下落余地は限定的となりそうだ。前日発表の2月消費者物価指数(CPI)は予想通りで波乱がなかったこともあり、20-21日開催のFOMCに向け、インフレは底堅いとの見方から連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速観測も広がろう。ドル・円は105円台の買いと107円台の売りに挟まれた値動きが続きそうだ。

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 メルケル独首相が4期目の就任宣誓
・17:00 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁講演
・19:00 ユーロ圏・1月鉱工業生産(前月比予想:-0.5%、12月:+0.4%)
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:+0.3%)
・21:30 米・2月小売売上高(前月比予想:+0.3%、1月:-0.3%)
・21:30 米・2月生産者物価指数(前月比予想:+0.1%、1月:+0.4%)
・23:00 米・1月企業在庫(前月比予想:+0.6%、12月:+0.4%)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、米政権内の混乱も底堅い経済指標が下支え