9日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

■株式見通し:VIX低下に賭けるデリバティブのポジション解消が波乱要因に
■決算チェック:ニコンは18年3月期営業利益見通しを上方修正、4-12月期実績とともに想定上振れ
■前場の注目材料:NEC、熱電変換効率100倍、スピン流型素子開発、世界最高性能を実現


■VIX低下に賭けるデリバティブのポジション解消が波乱要因に

9日の日本株市場は、米株安の流れを受けて売り先行の展開になろう。8日の米国市場では政府機関の閉鎖や長期金利上昇の懸念が強まり、NYダウは再び1000ドルを超える下落となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比770円安の21170円となり、これにサヤ寄せする格好から、インデックスに絡んだ売買により、幅広い銘柄が売られる格好となろう。

また、投資家の先行き不透明感を示すVIX指数が再び高止まりしており、下げ幅を拡大している。VIX低下に賭けるデリバティブのポジション解消が株価下落に拍車をかけているとの見方も多い。もっとも、足元の乱高下による需給面での歪みが1、2日程度で解消されるとは考えづらく、想定されていた面もあるだろう。ボラティリティーの指数を含め指数連動のデリバティブへの投資額が2兆ドルとの試算もある。これの巻き戻しが行われており、しばらくは波乱含みの展開が警戒される。

本日は週末要因のほか、3連休前で積極的なポジションは取りづらいところである。日経平均はシカゴ先物にサヤ寄せする中、オーバーシュート気味に下げてくる可能性もあるだろう。支持線として意識されている200日線は20988円辺りに位置しているが、21000円を下回るようだと、売り込みづらくさせよう。ただし、そうなると26週線を下回って終えることになり、52週線辺りが意識されやすい。

また、決算ピークとなり、本日は500社程度が予定されている。全体の地合いに押されている好業績銘柄の押し目を冷静に拾いたいところだろう。

(株式部長・アナリスト 村瀬智一)


■ニコンは18年3月期営業利益見通しを上方修正、4-12月期実績とともに想定上振れ

ニコン<7731>は18年3月期の通期営業利益見通しを従来の450億円から530億円(前期は7億円)に引き上げている。第4四半期の前提為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=130円。映像事業では高付加価値製品への注力と販売経費の効率化が奏功して計画を上回って推移しており、為替レートが円安に推移していることも追い風となる。精機事業ではFPD露光装置分野及び半導体露光装置分野ともに、原価低減とサービス収益の改善により増益を見込む。一方、産業機器・その他事業では製品ポートフォリオの選択と集中を進め、構造改革関連費用の計上で減益となる見込み。最終利益については従来予想の300億円(同39億円)を据え置いた。また、期末配当を1株当たり17円(同4円)にすることも発表している。年間配当は31円(同16円)となる。同時に発表した17年4-12月期(第3四半期累計)営業利益は前年同期2.2倍の414億円となった。映像事業では、昨年9月に発売したデジタル一眼レフカメラ「D850」が好評を博した。精機事業では、半導体露光装置分野で構造改革関連費用を計上した前年同期と比べ大幅に収益が改善した。市場コンセンサスで4-12月期営業利益は340億円強、18年3月期通期については490億円強と見込まれていた。今回の決算は4-12月期実績、修正後の通期予想ともにコンセンサスからの上振れ幅が大きく、ポジティブ視されそうだ。


■前場の注目材料

・日銀、大規模な金融緩和を維持
・好業績銘柄への資金シフト
・マザーズは上昇(1212.93、+42.09)
・日経平均は上昇(21890.86、+245.49)

・NEC<6701>、熱電変換効率100倍、スピン流型素子開発、世界最高性能を実現
・三菱マ<5711>、新たな不正、不適合品、出荷先748社に拡大


☆前場のイベントスケジュール

<国内>
・10:10  国債買い入れオペ(残存期間1年超5年以下と10年超)(日本銀行)

<海外>
・10:30  中・消費者物価指数(1月)  1.5%  1.8%
・10:30  中・生産者物価指数(1月)  4.2%  4.9%



<HT>

情報提供元: FISCO
記事名:「 前場に注目すべき3つのポイント~VIX低下に賭けるデリバティブのポジション解消が波乱要因に