■日銀金融緩和の早期縮小観測でドル・円は一時111円割れ

先週のドル・円は軟調推移となり、一時111円を下回る場面があった。好調な経済環境を背景に、日本銀行は年内金融緩和の縮小を始めるとの思惑が広がり、円買いが活発となった。米国株は堅調に推移し、3月利上げ観測が台頭したが、3月を含めて年内3回の利上げは想定内との見方が多く、ドル買い材料にはならなかった。1ドル=112円割れで短期筋などによるストップロスのドル売りが執行されたこともドル下落を促す一因となった。

12日のニューヨーク市場では、12月の米消費者物価コア指数が市場予想を上回ったことから、一時ドルを買い戻す動きがみられた。しかしながら、日銀が今月の金融政策決定会合で2018年度の成長見通しを引き上げるとの報道を受けてドル売り・円買いが再び優勢となり、ドル・円は110円92銭まで反落し、111円06銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:110円92銭-113円39銭。

■弱含みか、主要国の金融政策を意識した相場展開に

今週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今年3回の利上げを行うとみられているが、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行などの他の主要中央銀行による金融緩和策縮小や利上げへの思惑が台頭しており、ドルはユーロなどの他の主要通貨に対してやや下落する可能性がありそうだ。

11日に公表されたECB理事会の議事要旨(昨年12月14日開催分)では、2018年は「ガイダンスの段階的な変更を検討する可能性」が示されており、現行の緩和的な政策を修正するとの観測が広がっている。日本銀行による「異次元金融緩和」の継続に関しても懐疑的な見方が出始めており、量的緩和策の長期継続を想定した円売りは縮小する可能性がある。英中央銀行や豪準備銀行(中央銀行)などへの利上げ前倒し期待もあり、各国の主要経済指標が堅調だった場合、金融緩和の縮小や過剰流動性の修正を想定して、主要通貨に対するドル売りが次第に強まりそうだ。

1月以降に発表された米主要経済指標は3月利上げを後押しするものとそうでないものに分かれており、目先的に3月利上げを見込んだ積極的なドル買いは手控えられるとみられる。ただ、米国株高を意識したドル買いは継続する可能性があるため、米国株が一段高となった場合、ドル・円相場が急落する可能性は低いとみられる。

【米・1月フィラデルフィア連銀景況調査】(18日発表予定)
18日発表の米1月フィラデルフィア連銀景況調査は23.0と予想されており、12月実績の27.9を下回る見込み。ただ、景気の良し悪しの境目であるゼロを大きく上回る状態が続いており、市場予想に沿った内容ならドル売り要因にはなりにくい。

【米・1月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値】(19日発表予定)
19日発表の1月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は97.0と、12月の95.9を上回ると予想されている。税制改革法案成立の影響もあるとみられているが、信頼感指数が予想を下回った場合、米国経済の持続的な成長を期待したドル買いは後退する可能性がある。

予想レンジ:109円00銭−113円00銭




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情報提供元: FISCO
記事名:「 為替週間見通し:弱含みか、主要国の金融政策を意識した相場展開に