今日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想したい。米税制改革法案が前週末に上院を通過し、同法案の成立への期待は継続。ただ、本日から始まった米韓による大規模な軍事演習が朝鮮半島有事につながりかねないとの見方が、ドル・円の重石になりそうだ。

米上院は前週末、トランプ政策の柱となる税制改革法案について、賛成51、反対49の賛成多数で可決した。財政赤字への懸念から共和党内では減税案には慎重な意見もあるが、上院での採決では反対票が1人にとどまった。共和党執行部は今後、下院で可決されている同法案との擦り合わせの作業に入る。上下両院の調整は難航が予想されるものの、共和党が目標としている年内の法案成立に向け進展したことから、週明けアジア市場のドル・円は上昇基調の展開となった。ある短期筋は「海外市場で法案成立への期待が継続した場
合、ドル・円は113円台前半に値を戻してもおかしくない」と指摘する。

ただ、1日のNY市場ではロシアゲート問題に関連し、米国の政治情勢の不透明感からドル・円が一時111円40銭台まで急落した影響で、今晩のドル買いは慎重になりやすい。ロシアとの関係で連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述を認めたフリン前大統領補佐官による今後の動向が注目されよう。一方、米韓の両空軍は本日から8日までの予定で、韓国各地での過去最大規模とされる合同軍事演習を開始。11月29日に弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対するけん制が狙いとみられる。これに対し北朝鮮は、米韓軍事演習は「重大な軍事的挑発」であり「無慈悲な報復が伴うことを銘記すべき」と警告。朝鮮半島有事への警戒感から、円へのリスク回避的な買い圧力は続くであろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・11月建設業PMI(予想:51.0、10月:50.8)
・19:00 ユーロ圏・10月生産者物価指数(前年比予想:+2.6%、9月:+2.9%)
・24:00 米・10月製造業受注(前月比予想:-0.4%、9月:+1.4%)
・24:00 米・10月耐久財受注改定値(予想:-1.0%、速報値:前月比-1.2%)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、朝鮮半島有事に警戒