11月9日、Segwit 2xの分岐(ハードフォーク)計画が中断されたことで、分裂のリスクが回避されたビットコインだが、その後8月にビットコインから分岐していたビットコインキャッシュの価格が一時高騰すると同時に、ビットコインの価格が下落するという事態が起こった。11月10日の始値約83万円から、12日には一時70万円を下回る下落をみせたビットコイン/円は、13日時点では75万円台まで回復している。

このビットコイン暴落とビットコインキャッシュ高騰の背景には、Segwit 2xを支持していたマイナー(採掘者)や企業等がビットコインからビットコインキャッシュへ移行する動きがあるのではないかと推測される。マイナーとは、ビットコインのネットワークを維持して新規生成を行うための計算作業であるマイニング(採掘)に携わる者のことを指す。ビットコインキャッシュのマイニングを行う計算力(ハッシュレート)は、11月10日にはビットコインの10分の1に満たない規模だったが、12日にビットコインのマイニング計算力を上回り、一時ビットコインの約2倍となった。13日時点では再びビットコインの10分の1以下に戻っているが、今後の動向が注目される(fork.lolより)。

ビットコインは現在、スケーリング問題という課題に直面する。これは、現在ユーザーの増加に伴って急ぎビットコインの取引処理能力を向上させる必要があるというものだ。ビットコインの取引データは約10分ごとにブロックという単位で記録され、現状では1ブロックの上限値は1MBに設定されている。ビットコイン本体の開発を主に担ってきたビットコイン・コア開発陣は、この1ブロックのサイズを引き上げずにまずはSegwit(セグウィット)という技術を適用することでスケーリング問題を対処しようとしてきた。これに対して、Segwit 2xやビットコインキャッシュは1ブロックサイズのデータ容量を拡大することでスケーリング問題を解決しようとしている。

先週、このブロックサイズ拡大派のひとつであったビットコインクラシックという開発陣営がホームページにおいて、今後のビットコインキャッシュの成長に期待をかけていることと共に、この半年以内に人々がビットコインキャッシュを本流のビットコインと呼ぶようになるだろうなどという意見を載せた。

上の発言は現在のビットコイン本体の主張当然異なるものではあるが、ビットコインキャッシュのハッシュレートやマイニング収益性がビットコインを上回る傾向が今後も続く場合には、ビットコインキャッシュの存在感がさらに高まるという可能性はある。しばらくは、この二つの通貨の動向に注目する必要がありそうだ。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ビットコインキャッシュの高騰とともに、ビットコイン価格一時下落【フィスコ・ビットコインニュース】