今日の欧米外為市場では、ドル・円は下落基調が続くとみられる。前日から始まった米韓合同軍事演習により朝鮮半島有事の可能性がなお警戒され、リスク回避的な円買いに振れやすい見通し。ジャクソンホール会合を控えて様子見ムードも広がるなか、欧米株価や長期金利の動向を手がかりとした取引となりそうだ。

米韓軍事演習初日となった21日は、北朝鮮側に目立った動きは確認されなかったものの、北朝鮮軍板門店代表部報道官は本日、警告を無視した米国は「無慈悲な報復と容赦ない懲罰を免れない」との談話を発表した、と報じられた。また、北朝鮮軍が「引き金に指をかけて発射待機状態で一挙一動を注視している」としており、朝鮮半島は一触即発の状況に変わりはない。

本日のアジア市場では、日経平均株価の当初の切り返しを手掛かりに、国内の実需筋によるドル買い戻しが強まり、ドル・円は109円台を回復した。しかし、米株式投資家の恐怖の度合いを示すVIX指数は、北朝鮮がグアム周辺へのミサイル発射を示唆した10日の16ポイント台からやや低下したとはいえ、足元も13ポイント台と高水準で推移している。このため、今晩の欧米市場でも北朝鮮リスクを警戒した円買い地合いは継続しよう。米ワイオミング州ジャクソンホールで週末に開かれる年次総会を前に様子見ムードが広がりやすいなか、欧米の株価や長期金利をにらみながらの取引となりそうだ。欧米の株価は足元でピークを越したとの見方が広がっており、ユーロやドルは買いづらい地合いが見込まれる。
一方、今晩23時には米アリゾナ州フェニックスでトランプ大統領の集会が予定されている。前週にバージニア州で白人至上主義者と反対派が衝突し、同大統領は人種差別主義を容認したとの政権批判をかわすため、側近のバノン首席戦略官兼上級顧問を更迭。しかし、批判は払しょくされておらず、同様の衝突がトラブルに発展すればドルにネガティブな要因となりそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・7月公共部門純借入額(銀行部門除く)(予想:+10億ポンド、6月:+69億ポンド)
・18:00 独・8月ZEW景気期待指数(予想:15.0、7月:17.5)
・21:30 カナダ・6月小売売上高(前月比予想:+0.2%、5月:+0.6%)
・22:00 米・6月FHFA住宅価格指数(前月比予想:+0.5%、5月:+0.4%)
・23:00 米・8月リッチモンド連銀製造業指数(予想:10、7月:14)
・23:00 トランプ米大統領がアリゾナ州で集会




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は下落基調継続か、北朝鮮リスクになお警戒