今日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。米医療保険制度改革(オバマケア)改廃法案の審議入りが短期的に好感され、ドル買い先行の見通し。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で慎重姿勢を示すと見込まれ、ドル買い圧力を弱めそうだ。

米上院は25日、オバマケア改廃法案の審議開始を採決し、審議入りを決めた。51対50の僅差となったため、今後の上院での審議の内容次第では否決される可能性はなお残る。ただ、共和党議員の造反は想定内の2人にとどまった。また、上院共和党のコーニン院内幹事が審議入りに際して修正案に含みを残しつつ、「採決の機会が生まれる」と法案成立に強い意欲を示している。一時は絶望視されていた法案審議の進ちょくは、短期的だが好感される見通し。トランプ政権による減税を柱とした経済政策の実現への期待から、本日のアジア市場でドル・円は、前日NY高値を上抜け一時112円台を回復。欧米市場では引き続きドル買い先行となりそうだ。

一方、FRBはFOMCでの討議を踏まえ、日本時間27日3時に金融政策を発表する。今回は現行の金融政策維持が見込まれている。足元の経済指標は強弱まちまちながら、今月14日に発表された6月消費者物価指数(CPI)や同小売売上高など重要指標の低調な内容が目立ち、年内追加利上げへの疑念は根強い。それに先立って行われたイエレンFRB議長による議会証言では、政策金利やバランスシートの正常化に関し前向きな姿勢を示したものの、「インフレ率や自然利子率次第では、利上げの余地は限られる」(12日)と発言。今晩の声明も、金融正常化に前向きながらも慎重姿勢を維持する内容になるとみられ、ドル買いは限定的となろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・4-6月期GDP速報値(前年比予想:+1.7%、1-3月期:+2.0%)
・17:30 英・6月住宅ローン承認件数(銀行協会)(予想:40000件、5月:40347件)
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:+6.3%)
・23:00 米・6月新築住宅販売件数(予想:61.5万戸、5月:61.0万戸)
・02:00 米財務省5年債入札(340億ドル)
・03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明発表(政策金利は1.00-1.25%に据え置き予想)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、米FRBは金融正常化に慎重姿勢も