ビットコインは30万円手前でのもみ合いが続いています。徐々に上値が重くなっていることは気になるところです。今回も、ビットコインアナリストである田代昌之氏より、

(1)【ファンダメンタルズ】引き続きスケーラビリティをめぐる技術解決の動向に注目
(2)【テクニカル】三角もち合いを形成中、上放れを期待したいが・・・
(3)【ビットコイン入門】Segwit2X、UASF、UAHFの各陣営を取り巻く動向とは

という観点で解説させていただきます。今後のビットコイン投資の参考としていただければ幸いです。


(1)【ファンダメンタルズ】引き続きスケーラビリティをめぐる技術解決の動向に注目

足元のビットコイン/円相場は27万円~28万円のレンジで推移しています。フィスコ<3807>傘下のフィスコ仮想通貨取引所でのBTC/JPYは6月23日に30万円台を超えましたが、7月2日時点では27万円前半とやや上値が重くなっています。

引き続きファンダメンタルズとしては、スケーラビリティ(取引処理能力)をめぐる技術解決の動向が注目されます。価格に大きく影響するだけでなく、今後のビットコインが複数の種類に分裂することになるのかどうかという、ビットコインの根本的な利用環境を左右する重要な要素となるため注目しておきたいポイントです。

先々週と先週はスケーラビリティ問題をめぐって対立している技術提案として、デジタル・カレンシー・グループ(DCG)の提案するSegwit2X(セグウィット・トゥー・エックス)と、UASF(User Activated Soft Fork、ユーザー主導のソフトフォーク)について簡単にご紹介しました。今週は(3)【ビットコイン入門】で新たに浮上UAHF(User Activated Hard Fork、ユーザー主導のハードフォーク)とはどのような提案か、また8月1日前後になにが起こると予想されるのかについてご説明したいと思います。


(2)【テクニカル】三角もち合いを形成中、上放れを期待したいが・・・

足元のビットコイン(BTC)相場は、円ベースでは27万円から28万円、米ドルベースでは2500ドル水準で推移しています。円ベースでのBTCは、5月末の安値を起点に下値を切り上げていますが、同時に5月末の高値を起点に上値も重くなっています。つまり三角もち合いを徐々に形成しているわけです。出来高は徐々に減少していることから、上下どちらかに放れるか見極めたいとするムードが強まっています。

仮想通貨全体の強さを考慮すると上放れを期待したいところですが、スケーラビリティ問題を抱えている状況から、下放れのリスクを警戒したほうがいいかもしれません。

今後、スケーラビリティ問題に関するさまざまなニュースが伝わる可能性が高いことから、上下に振れる荒い地合いが想定されます。スケジュール的に重要な8月1日までは、荒い値動きを想定したポジション管理が必要だと思われます。急落したときには買いで動けるようなキャッシュポジションを取っておくのも手です。


(3)【ビットコイン入門】Segwit2X、UASF、UAHFの各陣営を取り巻く動向とは

UAHF(User Activated Hard Fork、ユーザー主導のハードフォーク)とは、簡単にいうと先週ご紹介したUASFへの対抗案です。UASFが「ソフトフォーク」という現在のビットコインと互換性のある仕様変更による提案であるのに対して、UAHFは「ハードフォーク」という従来のビットコインとは互換性のない仕様変更の提案です。

ちなみに、DCGによるSegwit2Xも、UASFも、UAHFもすべてSegwit(SegregatedWitness、セグウィット)と呼ばれるビットコインの取引処理能力を高めるに当たって最有力視されている提案をアクティベート(実行)することが目的とされています。ただ、どのような条件の下でアクティベートするのかという詳細が異なるために、それぞれを支持する層(開発陣営、ビットコインのマイニングを行う企業、取引所やウォレット業者など)に違いが生まれています。

UAHFは、UASFが起こることによるリスクを軽減するための案だと説明しています。UASFの提案では、8月1日以降はUASFを支持していないというシグナルを出す(これまでのままの)ビットコイン(のブロックチェーン)の送金を拒否する仕様になっています。このため、ソフトフォークではあるものの、ハードフォークと同様に「両方ともビットコインと呼ばれるふたつの競合するチェーン(仮想通貨)」が生まれる可能性があります。ただし、8月1日よりも前にSegwitがアクティベートされればUASFは起こらなくなり、またUASFが起こった後にUASFを支持する層が非常に少なければリスクはほとんどなくなります。

こうしたUASFのリスクを減らすために、UAHFはハードフォークという手法で分岐をより恒久的な形にすることで、ユーザーの資産を保護する可能性を高めるという提案です。こちらの場合は確実にビットコインがふたつの仮想通貨に分裂することになります。ただし、UAHFはUASFが起こらなければ起こりません。

6月26日時点で、DCGの提案するSegwit2Xはコミュニティー全体の86%と高い支持を得ています(ブロックチェーンドットインフォより)。ただし、UASFの開発陣営はこちらの提案に賛成しておらず、かつSegwit2Xがどのような仕様変更となるのか具体的な部分も不明の状態です。Segwit2Xは、同じくUASFのリスクを防ぐために8月1日より前のアクティベートを目指すとしていますが、スケジュールが間に合うかどかなどもはっきりしていません。

先週との繰り返しになりますが、依然として8月1日近辺になっても関連ニュースの緊張度が高い場合はビットコインネットワークの混乱が起こる可能性があるため、不用な取引や送金などは避けてご自分のビットコインを推奨されるウォレット(Trezorやbreadwallet、Mycelium、Ledgerなど、分岐した場合にも対応すると公表しているウォレット)できちんと保管しておくことが推奨されます。これらの対応に関するアナウンスやビットコインの動向については、都度お送りさせていただきます。

今回の【ビットコイン入門】では、スケーラビリティをめぐる関係者の意見対立として、Segwit2X、UASF、UAHFの各陣営を取り巻く動向に関してご説明しました。

なお、ビットコイン投資は利益が出るときもあれば、損失が発生することもあります。
投資は自己責任でお願いします。

(フィスコ仮想通貨取引所: ビットコインアナリスト 田代昌之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 【フィスコ・ビットコインニュース】Segwit2X、UASF、UAHFの各陣営を取り巻く動向とは