先週の日経平均は下落。週末には6月19日以来、9営業日ぶりに節目の2万円を下回る場面もみられた。株主総会シーズンで機関投資家は積極的に動きづらいなか、個人主体の中小型株物色が続いた。日経平均は20200円辺りでのこう着が続く中、ゲーム関連やバイオ関連のほか、好業績銘柄への資金流入がみられていた。米国では予想を上回る経済指標の発表が相次ぎ、これを受けて長期金利が上昇するなかで、金融株を見直す流れもみられた。しかし、週末にはこれまでリード役であった、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)の「FANG」銘柄の利益確定の流れが、ハイテク株など景気敏感セクターへの売りにつながり、センチメントに影響している。

今週は7月2日の都議選の結果を受けてのスタートとなる。小池氏が代表の「都民ファーストの会」が、選挙協力する公明党などの支持勢力と合わせ都議会の過半数を獲得するかが焦点となる。自民党が予想以上に苦戦した場合、安倍首相の政策基盤が揺らぐ可能性も考えられ、市場の波乱要因になる可能性がある。ただし、都議選は人気投票的な面があるほか、国政に対する反対票が入りやすい傾向にある。自民党の苦戦は概ね織り込み済みといったところか。

また、3日には日銀が全国企業短期経済観測調査(6月短観)を発表する。大企業製造業の業況判断DI は15 と3 月調査の12 から改善すると予想されている。また、大企業全産業の今年度の設備投資計画が7.2%増と同0.6%増から上方修正されるとの見方がコンセンサスとなり、設備投資関連への見直しといった形でポジティブ視されよう。もっとも、足元の景気判断は引き続き改善するものの、米国のトランプ大統領の政権運営をめぐる不透明感などから、先行きの判断は横ばい若しくは、悪化するという予測が大勢を占めていることもあり、市場反応は限定的だろう。

その他、4日は米国が独立記念日で休場となるため、海外勢のフローが減少するほか、週末には米雇用統計など重要な経済指標の発表が控えるなか、こう着感の強い相場展開が続こう。米国では長期金利の上昇傾向や米銀のストレステスト通過により、ここにきて金融セクターへの見直しが強まってきている。一方で、世界的なハイテク株物色に向かわせていた「FANG」銘柄の利益確定の流れがみられてきており、資金の流れについては見極めが必要であろう。ハイテク株については過熱警戒感が高まっていたこともあり、出遅れていた金融セクターなどへのシフトは想定されていたことであり、理想的な資金シフトではある。原油相場の落ち着きから資源株への見直しもみられてきた。ただし、個人の活発な売買が目立つなか、ハイテク株等の調整が与える影響の方が、金融や資源株の上昇より大きい状況であり、「FANG」銘柄の動向は引き続き注目される。

もっとも、個人主体の需給状況は良好であり、中小型株の売買は引き続き活発だろう。過熱感が警戒されているゲーム株などは利食いに押されるものの、トレンドは依然として強く、資金の逃げ足が速い分、シコリが残らないためその後の戻りの早さも目立っている。先週も大きく値を下げる局面がみられたが、これまでの長期的な上昇トレンドには変化はなく、翌日には再び切り返しをみせている。今週も日経平均は2万円処での攻防のなか、中小型株への物色が強まることになりそうである。テーマ性では過熱感があるもののゲーム関連のほか、バイオ関連、サイバーセキュリティ関連、社会インフラ関連、人材関連、フィンテック関連のほか、好業績銘柄への物色といった流れを想定したい。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 国内株式市場見通し:「FANG」銘柄の動向を横目に中小型株物色は引き続き活発