今日の欧米外為市場では、ドル・円は小じっかりの値動きを予想したい。米経済指標の悪化が目立つなか、今晩のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長による発言内容が、今後の金融正常化に前向きならドル買いに振れやすい展開となりそうだ。

前日発表された米経済指標のうち5月耐久財受注、5月シカゴ連銀全米活動指数、6月ダラス連銀製造業活動指数は、いずれも予想を下回り、景気の減速に懸念が広がる場面もあった。これらの低調な経済指標がFRBによるタカ派寄りの金融正常化方針を後押しできず、ドルは伸び悩んだようだ。ある短期筋は「バランスシート縮小や年内の再利上げについて不透明感が増しており、ドルは買いづらい」と指摘する。

今晩は米国の6月消費者信頼感指数や6月リッチモンド連銀製造業指数(23時)、さらにイエレン米FRB議長による対談(28日2時)が注目される。消費者信頼感指数は、3月が約16年ぶりの高水準を示したものの、その後は低下基調となり、今回6月も116.0と5月の117.9から鈍化が見込まれる。低下傾向が意識されれば、ドルを下押しする手がかりとなりそうだ。

ただ、イエレン議長は今後の金融正常化について、引き続き強気なスタンスを示すと観測されている。今月開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でのタカ派寄り見解から2週間しか経過しておらず、発言内容を修正するとは想定しにくいためだ。また、来年2月3日の任期切れまで残り7カ月あまりの期間、同議長は金融正常化の方針を貫くとみられる。このため、イエレン議長の本日の発言から米長期金利が上昇し、ドルを押し上げる相場展開がイメージされる。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:05 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演(シドニー)
・19:00 英中銀のカーニー総裁が金融安定報告書で会見
・22:00 米・4月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数(前年比予想:+5.90%、3月:+5.89%)
・23:00 米・6月消費者信頼感指数(予想:116.0、5月:117.9)
・23:00 米・6月リッチモンド連銀製造業指数(予想:7、5月:1)
・24:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演(ロンドン、経済見通しと国際貿易)・02:00 イエレン米FRB議長が対談(ロンドン、世界経済関連)
・02:00 米財務省5年債入札(340億ドル)
・06:30 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁質疑応答



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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は小じっかりの展開か、米FRB議長の発言内容を見極め